EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌(NSCLC)患者の臨床転帰を検討したプール解析の結果がアップデートされ、従来の化学療法と比較してEGFR-TKIによる治療で大きな有用性が得られていることが確認された。9月28日から10月2日までウィーンで開催されている第37回欧州臨床腫瘍学会(ESMO2012)で、スペインHospital Universitario Virgen del RocioのL. Paz-Ares氏が発表した。

 Paz-Ares氏らは2010年、EGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者の臨床転帰についての後向きのプール解析を行い、化学療法(対象数375人)と比較してエルロチニブ(同365人)またはゲフィチニブ(同1069人)で治療した場合に無増悪生存期間(PFS)が延長することを報告し、PFSはそれぞれ5.2カ月、13.2カ月、9.8カ月だった。

 このプール解析の発表後、複数の大規模なフェーズ3試験をはじめ、多くの臨床試験でEGFR-TKIの検討が行われた。そのためPaz-Ares氏らはプール解析をアップデートし、エルロチニブ、ゲフィチニブ、化学療法のPFS中央値(MPFS)を示し、過去の臨床試験の包括的なデータベースを提供するとともに、この患者群の治療選択肢に焦点を当てることとした。

 Paz-Ares氏らは、EGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者に対する単剤療法としてのエルロチニブまたはゲフィチニブ、単剤療法または併用療法の化学療法を前向きまたは後向きに検討し、PFSが報告された学会発表および論文(フェーズ2または3、レトロスペクティブ解析)を検索した(2011年11月14日)。Medline、BIOSIS Previews、Embaseを用いるとともに、2009年から2011年の3年間の米国臨床腫瘍学会(ASCO)、世界肺癌学会(WCLC)、欧州癌学会-欧州臨床腫瘍学会(ECCO-ESMO)の抄録も用い、「epidermal growth factor」または「EGFR」、「lung」または「NSCLC」、「mutation」または「mutations」で検索した。重複を避け、また2剤のEGFR-TKIが連続して投与された試験、EGFR-TKIのPFSデータが薬剤別に分けられていない試験などは除外した。
 
 プールされたMPFS(pooled MPFS)を「MPFS(all)」、各試験のMPFSを「MPFS(i)」、すべての試験の対象数の合計を「N(all)」、各試験の対象数を「N(i)」として、「MPFS(all)」を次の計算式で算出した:MPFS(all)=1/ N(all)ΣN(i) MPFS(i)

 検索された文献とデータは、エルロチニブ27件(対象数735人)、ゲフィチニブ54件(1802人)、化学療法20件(984人)で、対象数は過去の報告と比較して約2倍となった。
 
 遺伝子変異について数字で報告していた試験では、エクソン19の欠失変異(53%)とエクソン21のL858R変異(38%)が多かった。
 
 すべての治療ラインに対するプールされたMPFSは、エルロチニブで12.4カ月、ゲフィチニブで9.4カ月だったのに対し、化学療法では5.6カ月だった。順列検定では、エルロチニブとゲフィチニブは化学療法と比較して有意にPFSを延長したことが示された(p<0.001)。
 
 治療ライン別にみると、ファーストライン治療におけるMPFSは、エルロチニブ12.0カ月、ゲフィチニブ9.8カ月、化学療法5.8カ月、その他の治療ラインではそれぞれ12.9カ月、9.2カ月、4.1カ月で、一貫してEGFR-TKIで良好な結果だった。エルロチニブとゲフィチニブのMPFSは、ファーストライン治療、その他の治療ラインのいずれで使用した場合にも有意差はなかった。さらに、順列検定でエルロチニブはゲフィチニブと比較して有意にMPFSを延長したことも示された(p=0.00045)。
 
 Paz-Ares氏は「今回のプール解析のデータセットにより、EGFR遺伝子変異陽性NSCLCは、PFSの有用性が化学療法を明らかに上回るEGFR-TKIで治療すべきとする推奨が強調された」と結んだ。