転移性腎細胞癌4500例以上を対象としたスニチニブの拡大アクセス試験の結果、同薬の安全性と有効性が確認された。9月28日からウィーンで開催されている第37回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で、英国Royal Marsden HpspitalのMartin Gore氏が発表した。

 この拡大アクセス試験は、フェーズ3試験が終了した後、販売承認がまだ得られていなかった52カ国の2005年6月から2007年12月までの間の患者を対象に開始したもので、通常、臨床試験の対象とならないような症例を対象としている。組み入れ基準は、未治療もしくは既治療転移性腎細胞癌で、前治療の毒性は消失しており、臓器能が保たれ合併症が見られない患者で、PSは問わず、脳転移例も参加可能とした。

 2009年にGore氏らはこの拡大アクセス試験の中間解析結果を発表しており、転移性腎細胞癌に対するスニチニブの効果と安全性が示され、実臨床に近い患者群でも有効であることが確認された。

 今回、この拡大アクセス試験の最終追跡結果を報告した。

 スニチニブの開始用量は1日50mgで、4週投与2週休薬を1サイクルとして投与し、病勢進行または許容できない有害事象、同意撤回まで続けられた。安全性評価は、1サイクル目の1日目、14日目、28日目に行い、各サイクルで同様に行った。有効性評価はRECIST ver1.0に基づいて、各国の診療方針に則って行った。奏効率、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)の情報を収集した。

 試験には4577例が登録され、4543例が治療を受けた。4543例の患者背景は、年齢(中央値)は59歳、65歳以上は1485例(33%)、男性3364例(74%)、ECOG PSが0、1、2、3、4がそれぞれ41%、43%、12%、2%、1%未満だった。組織型は、淡明細胞癌が88%、非淡明細胞癌は12%。腎摘除術施行例は89%。転移巣は、肺が76%、リンパ節が51%、骨35%、肝臓27%、脳が7%だった。

 前治療としてサイトカイン療法を受けていたのは68%、抗血管新生薬投与を受けていたのは10%だった。MSKCCリスク分類でFavorableリスクは20%、Intermediateリスクは33%、Poorリスクは26%だった。

 スニチニブの投与サイクル(中央値)は6で、治療期間(中央値)は7.5カ月(95%信頼区間:6.9-7.8)。フォローアップ期間(中央値)は13.6カ月(範囲1カ月未満-71.3)だった。

 治療を中断した患者は4298例(95%)で、中断理由は、効果が得られなかったのが39%、死亡21%、有害事象16%、同意撤回が9%、追跡不能3%、その他13%だった。

 減量した患者は2241例(49%)で、37.5mgとしたのが1525例(34%)、25mgが690例(15%)、12.5mgが26例(1%未満)だった。

 非血液学的有害事象(全グレード)で頻度が高かったのは下痢(47%)、倦怠感(40%)、悪心(36%)だった。グレード3/4の治療関連の非血液学的有害事象で頻度が高かったのは、疲労9%、手足皮膚症候群と無力感がそれぞれ7%、高血圧が6%だった。心血管系有害事象は1%未満だった。

 グレード3/4の血液学的有害事象はいずれも10%以下で、血小板減少が10%、好中球減少7%、貧血5%だった。臨床的に意味のあるALT、ASTの上昇が報告されたのは3%だった。長期追跡の結果は中間解析結果と比べてほとんど変わらなかったが、甲状腺機能低下症は中間解析では6%だったのに対し、最終解析結果では11%だった。

 有効性解析については4219例が対象となった。完全奏効(CR)が得られたのは1%、部分奏効(PR)が得られたのは14%で、奏効率は16%だった。

 サブグループ解析で、前治療がサイトカイン療法だった2907例でのCR例は1%、PR例は14%、3カ月以上病勢安定(SD)が得られたのは46%だった。

 65歳以上だった1386例におけるCRは1%未満、PRは13%、3カ月以上SDは43%。PS 2以上だった587例におけるCRは1%未満、PRは5%、3カ月以上SDは25%だった。非淡明細胞癌505例でCRは1%未満、PRは8%、3カ月以上SDは43%だった。脳転移324例でCRは1%、PRは8%、3カ月以上SDは33%だった。

 PFS(中央値)、OS(中央値)はそれぞれ、全体では9.4カ月、18.7カ月、前治療がサイトカイン療法だったグループでは9.3カ月、18.4カ月、65歳以上では10.1カ月、18.1カ月、PS 2以上のグループでは3.5カ月、5.7カ月、非淡明細胞癌では6.0カ月、12.2カ月、脳転移では5.3カ月、8.2カ月だった。

 これらの結果からGore氏は、「スニチニブの効果と安全性は長期追跡からも示された。また、前治療としてサイトカイン療法を受けていたり65歳以上であっても、未治療例や若年者と同等に効果が期待でき、PS 2以上や脳転移例など予後が悪い患者でも臨床的効果が得られていた」と締めくくった。