EGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺癌(NSCLC)に対するファーストライン治療としてのエルロチニブについて、日本人患者では初となる前向きのフェーズ2試験が実施され、無増悪生存期間(PFS)中央値は11.8カ月と、有望な有効性と安全性プロファイルが示された。9月28日から10月2日までウィーンで開催されている第37回欧州臨床腫瘍学会(ESMO2012)で、がん研有明病院呼吸器センター呼吸器内科の堀池篤氏が発表した。

 堀池氏らは、EGFR遺伝子変異陽性NSCLCの日本人患者を対象として、ファーストライン治療としてエルロチニブを検討する多施設共同、非盲検、非無作為化のフェーズ2試験を実施した。この試験には日本の25施設が参加した。

 対象は、EGFR遺伝子変異(エクソン19の欠失変異またはエクソン21のL858R変異)を有するIIIB/IV期または再発NSCLCの成人患者とし、NSCLCに対する化学療法の治療歴はないこととした。適格とされた患者には、エルロチニブ150mg/日を増悪または忍容不能な毒性の発現まで投与した。間質性肺炎、消化管穿孔、グレード4以上の有害事象を認めた場合は直ちに投与を中止した。

 主要評価項目は独立検討委員会の評価によるPFSおよび安全性だった。この試験では、PFS中央値について、白金系抗癌剤を含む2剤併用療法のヒストリカルコントロールで7カ月、エルロチニブによる治療で11カ月と想定された。

 2010年4月8日から10月6日までに103人が登録され、年齢中央値は65歳、女性は68%、ECOG 0と1の割合はそれぞれ48%と52%だった。非喫煙者は57%だった。EGFR遺伝子変異では、エクソン19の欠失変異を有する患者は48%、エクソン21のL858R変異を有する患者は50%、L858R変異とエクソン20のT790M変異を有する患者は2%だった。腺癌が99%を占め、病期ではIV期が72%、IIIB期が4%、術後再発が24%だった。

 103人全員が安全性解析対象となり、登録後に21日間試験治療を受けなかった1人を除く102人が有効性解析対象となった。2011年9月1日をデータカットオフ日とした初回解析時には、44人が試験治療を継続しており、2012年6月1日をデータカットオフ日とした2回目の解析時には、有効性解析対象の17人と安全性解析対象の1人が試験治療を継続していた。

 主要評価項目のPFS中央値は、初回解析では11.8カ月(95%信頼区間:9.7−未到達)となり、2回目の解析でも11.8カ月(95%信頼区間:9.7−15)だった。さらに、T790M変異を有する2人を除くと、PFS中央値は12.3カ月(95%信頼区間:9.8−15)となった。全生存期間(OS)のデータは現時点では未成熟である。

 1年無イベント生存率(EFS)は、初回解析では49%だった。80人で完全奏効(CR)または部分奏効(PR)が得られ、奏効率は78%、奏効期間は11.1カ月だった。病勢コントロール率(DCR)は95%となった。

 EGFR遺伝子変異のサブグループ解析では、L858R変異を有する患者(L858R変異とT790M変異を有する2人を除く)と比較して、エクソン19の欠失変異を有する患者で良好な有効性が得られると考えられた。奏効率およびPFS中央値は、L858R変異を有する患者で76%と11カ月だったのに対し、エクソン19の欠失変異を有する患者ではそれぞれ84%と12.5カ月だった。L858RとT790Mを有する患者では、安定状態(SD)までの効果しか認めなかった。

 安全性プロファイルは予測通りであり、最も多く観察された有害事象は発疹(83%)と下痢(81%)で、グレード3の発疹と下痢はそれぞれ14%と1%だった。グレード4以上の事象は発現しなかった。有害事象のため43人が減量を要した。10人(10%)で投与を中止し、間質性肺炎または間質性肺炎様の事象が発現した6人が含まれた。このうち5人は間質性肺炎が確認され、1人は否定された。その他、肝機能異常が3人、発疹が1人だった。