化学療法未治療の転移性胃癌に対して、S-1ドセタキセルの併用はS-1単剤に比べて有意に全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)を延長し、奏効率も高く、ファーストライン治療の1つとなることが明らかとなった。Japan Clinical Cancer Research Organization(JACCRO)とKorean Cancer Study Group(KCSG)が行ったフェーズ3試験、START試験のアップデートの結果示されたもの。9月28日から10月2日にオーストリア・ウィーンで開催されている欧州臨床腫瘍学会(ESMO2012)で、岐阜大学大学院・腫瘍制御学講座・腫瘍外科学分野教授の吉田和弘氏によって発表された。

 START試験の結果は2011Gastrointestinal Cancers Symposiumで発表され、OSの延長が認められないという結果だったが、生物統計学の専門家からセンサードケースが数多くあり正確な分析には不十分と指摘を受け、観察期間内のセンサードケースについて再調査した結果が今回発表された。

 START試験は進行胃癌を対象にしたフェーズ3試験。639人が登録され、S-1とドセタキセル併用群(316人)には3週間を1サイクルとして1日目にドセタキセル40mg/m2を投与し、1日目から14日目までS-1を80mg/m2投与した。S-1群(323人)には6週間を1サイクルとして1日目から28日目までS-1を80mg/m2投与した。主要評価項目はOS、副次評価項目はPFS、奏効率などだった。

 解析は全体で635人(併用群314人、単剤群321人)を対象に行われた。観察期間中央値は11.4カ月(0.1-68.9)。OSについては619イベント、PFSについては616イベントが起きていた。

 OS中央値はS-1とドセタキセル併用群12.5カ月、S-1単独群が10.8カ月でハザード比0.837(95%信頼区間:0.711-0.985)、p=0.0319で有意な差があった。PFS中央値はS-1とドセタキセル併用群5.3カ月、S-1単独群4.2カ月で、ハザード比0.765(95%信頼区間:0.653-0.898)、p=0.001と有意に併用群が延長していた。奏効率はS-1とドセタキセル併用群が38.8%(95%信頼区間:32.8-45.2)、S-1単独群が26.8%(95%信頼区間:21.6-32.6)、p=0.005で有意に併用群が良かった。

 Forest Plotによる解析では、OSは日本人、PS0、標的癌測定不能、リンパ節転移陰性で有意に良かった。

 層別化解析では、測定可能病変を持つ491人では、OS中央値はS-1とドセタキセル併用群(242人)が11.7カ月、S-1単独群が10.3カ月でハザード比0.904(95%信頼区間:0.751-1.088)、p=0.2849で差はなかったが、PFS中央値はS-1とドセタキセル併用群4.7カ月、S-1単独群3.9カ月で、ハザード比0.822(95%信頼区間:0.686-0.985)、p=0.0324と有意に併用群が延長していた。

 測定可能病変のない144人では、OS中央値はS-1とドセタキセル併用群(72人)が17.9カ月、S-1単独群が12.0カ月でハザード比0.649(95%信頼区間:0.461-0.914)、p=0.0127で有意差があり、PFS中央値はS-1とドセタキセル併用群8.4カ月、S-1単独群5.6カ月で、ハザード比0.613(95%信頼区間:0.435-0.862)、p=0.0045と有意に併用群が延長していた。

 サブセットアナリシスでは、日本人(425人)のOS中央値は併用群(209人)が13.9カ月、S-1群(216人)が11.0カ月で、ハザード比0.810(95%信頼区間:0.664-0.987)、p=0.0368と有意な差がついたが、韓国人(210人)のOS中央値は併用群(105人)が10.9カ月、S-1群(105人)が10.0カ月で、ハザード比0.900(95%信頼区間:0.675-1.200)、p=0.414と差がなかった。この理由について吉田氏は、セカンドライン治療の差の可能性を指摘した。

 一方、副作用は、好中球減少症など血液学的な副作用が併用群で多く見られた。併用群の白血球減少症はグレード3が59人、グレード4が9人、好中球減少症はグレード3が44人、グレード4が46人、発熱性好中球減少症はグレード3が8人、グレード4が1人だった。