悪性胸膜中皮腫に対する術前化学療法としてのシスプラチンペメトレキセド併用療法後に行う胸膜肺全摘出術の肉眼的完全切除率は71.4%で、中皮腫に対する術前化学療法、胸膜肺全摘出術、術後放射線療法という集学的治療は実行可能な治療であることが示された。9月23日からスウェーデン・ストックホルムで開催されたThe European Multidisciplinary Cancer Congress(EMCC2011)で、中皮腫臨床試験センターによる切除可能悪性胸膜中皮腫に対するペメトレキセドを含む集学的治療に関する安全性確認試験実施グループを代表して、広島大学呼吸器外科の宮田義浩氏が発表した。

 切除可能な悪性胸膜中皮腫に対する最適な治療法についてはまだコンセンサスが得られていないが、1つの治療法のみでは予後が悪いことには合意が得られている。現在、外科手術と化学療法、放射線療法を組み合わせた集学的治療の有効性に注目が集まっているが、まだエビデンスは十分でない。

 そこで同グループは、術前化学療法、手術、術後放射線療法を組み合わせた集学的治療について、実行可能性を評価する研究を行った。

 対象は未治療の悪性胸膜中皮腫(T0-3、N0-2、M0)で、ECOG PSが0または1の患者。フォローアップ期間を3年間とした。

 主要評価項目は、胸膜肺全摘出術の肉眼的完全切除率(MCR)と治療関連死亡率で、MCRは術者の肉眼によりすべての腫瘍が摘出できたことを確認できた割合、治療関連死亡率はプロトコール治療終了、または中止後84日間以内の病勢進行以外の全死亡の割合と定義した。副次評価項目は、集学的治療の完遂率、有害事象の頻度、術前化学療法の奏効率などとした。

 切除可能な未治療悪性胸膜中皮腫に、シスプラチン60mg/m2とペメトレキセド500mg/m2を3週間ごとに3サイクル行い、その後、胸膜肺全摘出術を施行、術後に片側全胸部照射を行う治療法を行った。

 42例が登録され、患者背景は、年齢中央値65歳(43-75歳)、男性比率が92.9%、組織型が上皮型66.7%、二相型21.4%で、アスベスト暴露が判明しているのは78.6%だった。

 追跡の結果、化学療法を実施したのは42例、手術を施行したのは33例、MCRを評価したのは30例、放射線療法を施行したのは19例、すべての治療を完遂したのは17例だった。そして、MCRは71.4%、治療関連死亡率は9.5%(4例)だった。集学的治療の完遂率は40.5%、術前化学療法の奏効率(病勢制御率)は81.0%だった。

 術前化学療法の奏効については、部分奏効(PR)が14例(33.3%)、病勢安定(SD)が20例(47.6%)、病勢進行(PD)が5例(11.9%)だった。

 化学療法に関する血液学的有害事象は、貧血はグレード3が1例、好中球減少はグレード3が6例、グレード4が1例、非血液学的事象では、悪心のグレード3が1例、嘔吐のグレード3が1例と軽微だった。

 術後合併症(対象は30例)は、胸膜気管支瘻、血胸、ヘルニア、成人型呼吸促迫症候群、呼吸困難、膿胸、心不全などがグレード3あるいは4としてそれぞれ1〜4例程度見られた。