日本人の進行非小細胞肺癌(NSCLC)に対するカルボプラチンパクリタキセルへのlinifanib追加投与は忍容性があり、有効である可能性がフェーズ1試験の結果から示された。9月23日からスウェーデンストックホルムで開催されたThe European Multidisciplinary Cancer Congress(EMCC2011)で、癌研有明病院呼吸器センターの大柳文義氏が発表した。

 linifanibは血管内皮増殖因子受容体や血小板増殖因子受容体を阻害する新しいチロシンキナーゼ阻害薬で、これまでの基礎的検討から、カルボプラチン+パクリタキセル(CP療法)の効果を増強するという結果が得られている。今回、このlinifanibのフェーズ1臨床試験の結果が発表された。

 試験の対象は、20歳以上の非扁平上皮型進行NSCLCで、NSCLCに対する治療や21日以内の放射線治療、外科治療を受けている患者は除外した。

 カルボプラチン(AUC 6mg/mL/min)とパクリタキセル(200mg/m2)を3週間ごとに投与し、1サイクル目の3日目から毎日7.5mgあるいは12.5mgのlanifanibを経口投与した。病勢進行あるいは許容できない有害事象が発生するまで継続された。linifanibに関連する有害事象が見いだされた場合は2.5mgごと減量した。6週ごとにCTによる評価を行った。

 7.5mg投与群、12.5mg投与群にそれぞれ6人が登録され、計12人が対象となった。登録時患者背景は、年齢中央値が7.5mg群64.5歳、12.5mg群56歳。喫煙者および禁煙者は7.5mg群4人、12.5mg群5人だった。

 12人のうち、linifanibの減量につながったのは、グレード3の発熱性好中球減少、グレード3の血小板減少症、グレード3の白血球減少、グレード4の好中球減少などが原因だった。7.5mg群ではグレード3以上の白血球減少が3人、血小板減少が2人に見られたが、12.5mg群ではグレード3以上の好中球減少、白血球減少、血小板減少がそれぞれ4〜5人に見られた。そのほかのlinifanibに関連する有害事象として、貧血、高血圧、脱毛症などが見られたが、多くはグレード2までで、貧血と高血圧についてグレード3が1〜2人に見られたのみだった。

 抗腫瘍効果については、7.5mg群で部分奏効(PR)が5人、12.5mg群ではPRが4人だった。投与サイクルの中央値は7.5mg群で7サイクル(範囲:3-10)、12.5mg群で1サイクル(範囲:1-5)だった。

 これらの結果から、日本人の進行NSCLCに対するCP療法へのlinifanib併用投与は忍容性があり、linifanib投与量は12.5mgに比べて7.5mgが適していると考えられた。また、PR例が多く観察されたこと、薬物動態解析から、CP療法との併用でlinifanibおよびパクリタキセルのCmaxとAUCが上昇することが観察された。