エルロチニブの市販後に行われた特定使用成績調査(全例調査)の中間解析で、日本人の再発・進行非小細胞肺癌患者に対しエルロチニブは忍容性があり、間質性肺疾患(ILD)の発生率やILDによる死亡率はゲフィチニブとほぼ同等であることが明らかになった。9月23日から27日までスウェーデン・ストックホルムで開催されたEMCC2011で、国立がん研究センター東病院の大江裕一郎氏らが発表した。

 エルロチニブは、切除不能な再発・進行性で、化学療法施行後に増悪した非小細胞肺癌を適応に、2007年10月19日に承認され、2007年12月18日に発売が開始された。特定使用成績調査(全例調査)は、使用実態の把握と副作用発現状況の確認を目的に、投与した全患者を対象に行われた。観察期間はエルロチニブ治療の終了まで、もしくは投与から12カ月とした。

 2007年12月から2009年10月までに10708人が登録された。中間解析は2008年6月30日までに登録された3743人のうち、安全性データが入手できた3488人を対象に行われた。

 男性が51.4%、年齢中央値は65歳、腺癌が83.1%で、ECOG PS 0が28.9%、PS 1が45%を占めた。再発例が36.7%、ステージ3Bが12%、ステージ4が49.8%。喫煙経験者が51.7%で、3次治療以降の治療を受けた患者が半数以上だった。またゲフィチニブの治療歴がある患者は55.1%を占めた。ILDの既往もしくは合併がある患者は4.8%、肺炎の既往もしくは合併は6.6%であった。

 有害事象は83.5%の患者で見られた。薬物有害反応(ADR)は81.8%の患者で認められたが、その多くはグレード1/2で、グレード3以上は18.3%だった。主なADRは皮膚障害が68.5%、このうち皮疹が63%であり、グレード3以上の皮疹は6.7%だった。消化器障害は32%で、このうち下痢が23.5%、グレード3以上の下痢は1.3 %だった。なお新たな有害事象は認められなかった。

 ILD様の事象は189人に見られた。独立評価委員会が確定したILDは158人(全体の4.5%)、ILDによる死亡率は1.6%であり、エルロチニブのILD発生率や死亡率はゲフィチニブとほぼ同等であった。

 治療開始からILDの発生までの期間は中央値で23日。最も発生率が高かったのは治療開始から2週間だったが、「8週間以降でも発生しており、注意は必要」と大江氏。また多変量解析の結果、ILDの既往もしくは合併(ハザード比が4.074)、喫煙歴(同2.991)、肺炎(同1.972)、ECOG PS 2-4(同1.628)が有意なリスク因子であった。

 全生存期間中央値は260日(95%信頼区間:239-279)、無増悪生存期間の中央値は64日(同:60-68)。1年生存率は40.9%だった。

 この中間解析の結果から、日本人の再発・進行非小細胞肺癌患者において、エルロチニブは忍容性のある治療であるとした。1万人を超えた調査の最終報告は来年になる見込みだ。