局所再発もしくは転移性乳癌に対し、エリブリンは全生存期間(OS)を改善することが、エリブリン投与と治験医師が選択した治療法(対照群)を比較したフェーズ3試験(EMBRACE)で明らかになっている。一般に前治療と同じタイプの薬剤を再投与すると効果が下がるといわれているが、それら再投与患者を対照群から除外しても、エリブリンによるOSの改善効果は有意に認められることが確認された。9月23日から27日までスウェーデン・ストックホルムで開催されたEMCC2011で、ポルトガルChampalimaud Cancer CenterのFatima Cardoso氏らが発表した。

 エリブリンは、非タキサン系微小管ダイナミクス阻害剤で、海洋生物クロイソカイメンから抽出されたハリコンドリンから誘導された全合成類縁化合物。

 EMBRACE 試験(Eisai Metastatic Breast Cancer Study Assessing Treatment of Physician's Choice Versus Eribulin E7389)は、エリブリン投与と治験医師選択治療を比較するグローバル無作為化オープンラベル試験。対象は、アントラサイクリン系抗癌剤やタキサン系抗癌剤を含む2-5種類の化学療法による前治療歴のある局所再発もしくは転移性乳癌患者762 人。患者はエリブリン投与群と対照群に2対1の比率で割り付けられた。

 エリブリン投与群では、21日を1サイクルとして、第1日と第8日に、エリブリン1.4 mg/m2を2-5分間かけて静脈内投与した。対照群は、単剤療法(化学療法、ホルモン療法、生物学的製剤)もしくは支持療法を受けた。

 その結果、主要評価項目であるOS中央値は、エリブリンによって2.7カ月延長することが報告されている(ハザード比は0.81、p=0.014)。

 しかし対照群において、前治療と同じタイプの薬剤を再投与された患者では治療効果が低く、そのためにエリブリン投与群で良好な結果が得られたのではないかという指摘があった。そこで、再投与のあった患者(再投与群)と再投与はなかった患者(非再投与群)に分けて、OSを比較した。

 対照群の254人のうち、再投与群が98人、非再投与群が156人。薬剤別では、タキサン系抗癌剤による治療を受けた患者が全体では41人、このうち再投与群が38人、同様にアントラサイクリン系抗癌剤は24人、うち再投与群が24人、ビノレルビンは65人で再投与群が5人、カペシタビンは45人で再投与群は4人、ゲムシタビンが46人で再投与群は0人、ホルモン療法は8人で再投与群は4人だった。

 再投与群を除いてOSを解析した結果、エリブリン投与群は13.11カ月、それに対し対照群(非再投与群のみ)は10.55カ月で、エリブリンによって約2.6カ月延長することを示した。ハザード比は0.74(95%信頼区間:0.58-0.94)、p=0.014であり、対照群から再投与の患者を除いても、エリブリンによる有意なOSの改善が示された。一方、再投与群のOS中央値は10.71カ月で、エリブリン投与群のハザード比は0.92(同:0.68-1.23)、p=0.557と有意ではなかった。

 これらの結果から、「再投与群では有意差は見られなかったが、再投与群の結果も、非再投与群の結果も、全体の試験結果と一致していた」とまとめた。