転移を有する進行癌にベバシズマブを投与した6件の臨床試験について、新しいELISA法を用いた再解析を行った結果、血漿中のVEGF-A(pVEGF-A)は、乳癌、胃癌、膵癌で予後予測だけでなく効果予測のバイオマーカーとなる可能性も示された。9月23日から27日までスウェーデン・ストックホルムで開催されているThe 2011 European Multidisciplinary Cancer Congress(EMCC)で、英Christie Hospital and University of ManchesterのGordon C. Jayson氏が発表した。

 ベバシズマブの効果予測バイオマーカーはまだ得られていない。予後予測のバイオマーカーとして、pVEGF-Aが有用である可能性が報告されている。

 Jayson氏らは、可溶性で短いVEGF-Aのアイソフォーム(VEGF-A121とVEGF-A110)に感受性が高い新しいELISA法を用いて、転移を有する進行癌にベバシズマブを用いた6件の試験について、治療前のpVEGF-Aの値による予後予測と効果予測の可能性を評価した。6件の試験は、AVF2107g試験(大腸癌)、AVAiL試験(非小細胞肺癌:NSCLC)、AVADO試験(乳癌)、AVOREN試験(腎細胞癌)、AVAGAST試験(胃癌)、AVITA試験(膵癌)。pVEGF-Aは中央値をカットポイントとして「高値」と「低値」に分類した。
 
 その結果、乳癌、膵癌、胃癌では、pVEGF-Aは予後予測と効果予測のいずれの可能性も持つことが示された。効果予測の可能性について、AVITA試験のOSに対するハザード比は、pVEGF-A低値で1.02、高値で0.56となり、高値で有意に改善した(p=0.03)。AVAGAST試験のOSに対するハザード比はそれぞれ1.01と0.72(p=0.07)、AVADO試験のPFSに対するハザード比はそれぞれ0.86と0.49だった(p=0.08)。
 
 しかし、大腸癌、NSCLC、腎細胞癌では、pVEGF-Aの予後予測の可能性は示されたが、効果予測の可能性は示されなかった。
 
 pVEGF-Aが効果予測バイオマーカーとなる可能性が乳癌・膵癌・胃癌では示され、大腸癌・NSCLC・腎細胞癌で示されなかった理由について、Jayson氏は、可溶性の遊離VEGF-AであることやVEGF110とVEGF121に対する感受性など、アッセイの特性が重要な役割を果している可能性があると説明した。

 また、AVADO試験、AVITA試験、AVAGAST試験の標本はEDTA血漿、AVF2107g試験、AVAiL試験、AVOREN試験の標本はクエン酸塩であること、大腸癌や腎細胞癌では標本が長期間保存されていたことも、結果に影響した可能性が考えられる。

 Jayson氏は、推定される複数のベバシズマブの効果予測バイオマーカーのうち、pVEGF-Aは第一の候補であり、前向き臨床試験で臨床使用の可能性を検証中であると紹介し、「現時点では臨床でのVEGF-Aの測定は待ってほしい」と話した。