結節性硬化症に伴う上衣下巨細胞性星細胞腫SEGA)に対するエベロリムス投与は奏効率35%で、プラセボ群では15%が進行したのに対しエベロリムス群では進行例が見られないことが、フェーズ3臨床試験であるEXIST-1試験から明らかとなった。9月23日からスウェーデン・ストックホルムで開催されているThe 2011 European Multidisciplinary Cancer Congress(EMCC)で、米Alabama大学のM. Bebin氏らのグループが発表した。

 結節性硬化症は、脳をはじめさまざまな臓器に良性の腫瘍が発生する疾患で、原因遺伝子としてTSC1遺伝子とTSC2遺伝子が同定されており、これらの遺伝子に変異が起こることで腫瘍病変が出現することが知られている。SEGAは、結節性硬化症患者の2割に発生する良性脳腫瘍で、特に若年者での発症が多い。

 結節性硬化症に伴うSEGAが1カ所以上、直径1cm以上の患者を対象に、mTOR阻害薬であるエベロリムスとプラセボを比較したフェーズ3臨床試験(EXIST-1試験)が実施され、今回、その結果が発表された。

 登録患者を、エベロリムス(目標濃度5〜15ng/mL)投与群とプラセボ群に割り付けた。エベロリムス群は78人、プラセボ群は39人割り付けられた。エベロリムス群はSEGAの進行あるいは許容できない有害事象が発生するまで投与され、プラセボ群については、SEGAが進行した場合にエベロリムスが投与された。

 主要評価項目はSEGA奏効率で、標的病変が登録時から50%以上縮小した場合とし、副次評価項目は6カ月時点での登録時からの発作の頻度の変化、SEGA進行までの期間、皮膚病変のある患者においては皮膚病変の奏効率とした。

 登録時患者背景は、年齢中央値がエベロリムス群9.5歳(1.0-23.9)、プラセボ群7.1歳(0.8-26.6)で、3〜18歳が両群ともに約7割と最も多く、男性比率はエベロリムス群63%、プラセボ群46%だった。登録時の合併症については、登録時に24時間ビデオ脳波測定(EEG)による発作が1回以上だった例はエベロリムス群35%、プラセボ群33%、皮膚病変が1個以上あったのはともに9割以上、血管筋脂肪腫が1個以上あったのは両群ともに4割弱、SEGA容量中央値はエベロリムス群1.6cm3、プラセボ群1.3cm3と差はなかったが、水頭症はエベロリムス群10%に対してプラセボ群0%だった。

 SEGA奏効率は、プラセボ群0%に対し、エベロリムス群35%で有意にエベロリムス群が高かった(p<0.0001)。EEGによる発作の頻度の変化については両群で同等だった。また、プラセボ群の15%が進行したのに対し、エベロリムス群では進行例はなかった。皮膚病変に対する奏効率は、プラセボ群11%に対してエベロリムス群42%と有意に高かった。血管筋脂肪腫に対する奏効率は、プラセボ群0%に対してエベロリムス群53%だった。TSC1およびTSC2遺伝子解析を行ったが、どちらの遺伝子型においてもエベロリムスの奏効は観察された。

 有害事象については、潰瘍がプラセボ群ではグレード1、2が5%、グレード3、4が0%だったのに対して、エベロリムス群ではグレード1、2が31%、グレード3、4が1%と多かった。口内炎がプラセボ群ではグレード1、2が18%、グレード3、4が3%だったのに対してエベロリムス群ではグレード1、2が23%、グレード3、4が8%だった。

 これらの結果から同グループは、エベロリムスはプラセボに比べてSEGAの容量を有意に減少させ、SEGAの進行までの期間を延長し、皮膚病変も改善する一方、有害事象はこれまでに知られているものが多く、多くはグレード1、2だったと締めくくった。