パニツムマブと白金系抗癌剤ベースの化学療法の併用により、ヒトパピローマウイルス(HPV)陰性の進行頭頸部扁平上皮癌(SCCHN)患者の全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)が改善したことが、フェーズ3のSPECTRUM試験のレトロスペクティブな解析から示された。9月23日から27日までスウェーデン・ストックホルムで開催されているThe 2011 European Multidisciplinary Cancer Congress(EMCC)で、ベルギーAntwerp University HospitalのJan B. Vermorken氏が発表した。

 SPECTRUM試験では、再発性または転移を有するSCCHNで化学療法と抗EGFR抗体製剤による治療を施行していない患者を対象として、シスプラチンと5-FUによる化学療法にパニツムマブを併用する群(併用群)と化学療法単独群(単独群)に無作為割り付けを行い、安全性と有効性を比較した。

 再発性または転移を有するSCCHNにおけるHPVの役割や、抗EGFR抗体製剤に対する反応の予測におけるHPVの役割は明らかになっていない。今回Vermorken氏らは、同試験の対象について、腫瘍のHPVの状態による臨床転帰をレトロスペクティブに解析した。主要目的は、SCCHNでHPV陽性・陰性の患者のOSについて、相対的な効果を併用群と単独群で比較し評価することだった。
 
 同試験では、21日を1サイクルとし、併用群にはパニツムマブ9.0mg/kgとシスプラチン100mg/m2を1日目に、5-FU 1000mg/m2/日を1〜4目に投与し、単独群にはシスプラチンと5-FUを同様に投与し、6サイクル施行した。その後、併用群ではオプションとして、パニツムマブ9.0mg/kgを3週ごとに、増悪(PD)または忍容不能な毒性の発現まで投与した。
 
 HPVの状態はp16INK4Aに対する免疫組織化学染色法を用いて判定した。HPV陽性は、腫瘍細胞中に10%を超えて均一に染色が認められる場合とした。
 
 同試験に登録された657人中、411人(63%)でHPVの評価が可能だった。HPV陽性は93人で、併用群56人、単独群37人だった。HPV陰性は318人で、併用群165人、単独群153人だった。
 
 HPVの状態別にみると、OSはHPV陰性の併用群の患者で有意に改善した。OSの中央値は、併用群11.8カ月、単独群8.6カ月で、ハザード比は0.73(95%CI:0.57〜0.94)となった(p=0.02)。

 一方、HPV陽性の患者では両群に差はなく、OSの中央値は併用群10.9カ月、単独群12.1カ月で、ハザード比は0.96(95%CI:0.59〜1.57)だった(p=0.88)。
 
 PFSもHPV陰性の併用群の患者で有意に改善した。PFSの中央値は、併用群6.5カ月、単独群5.1カ月で、ハザード比は0.68(95%CI:0.54〜0.86)となった(p=0.002)。これに対し、HPV陽性の患者では両群に差がなく、PFSの中央値は併用群5.5カ月、単独群5.3カ月で、ハザード比は1.04(95%CI:0.67〜1.63)だった(p=0.85)。

 ただし、相互作用の定量的な評価では、OS、PFSともに有意差は得られなかった。
 
 有害事象の発現率は、HPV陽性の併用群と単独群では、グレード3が46%と56%、グレード4が25%ずつ、グレード5が16%と6%だった。HPV陰性の併用群と単独群では、グレード3が37%と39%、グレード4が36%と24%、グレード5が14%ずつだった。投与中止につながった重篤な有害事象の発現率は、HPV陽性の併用群と単独群では9%と8%、HPV陰性の併用群と単独群で13%と11%だった。
 
 Vermorken氏は、「今回のデータから、再発性または転移を有するSCHNN患者を対象として抗EGFR抗体製剤を検討する今後のフェーズ3試験では、層別化にHPVの状態を用いる価値があると考えられる。ただし、まだ推論であり確認する必要がある」と話した。