mTOR阻害剤エベロリムスが、進行した膵内分泌腫瘍(pNET)に対して有効であることが明らかになった。日本も参加した国際的な無作為化二重盲検フェーズ3試験であるRADIANT-3試験の結果で、エベロリムスはプラセボとの比較で主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を2倍以上に有意に延長したほか、エベロリムス投与例の3分の1が18カ月時に無増悪生存しており、これはプラセボ投与例の3倍以上だった。腫瘍縮小効果も確認された。

 この成果は、10月8日から12日までイタリアのミラノで開催された第35回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で、University of Texas M. D. Anderson Cancer CenterのJames Yao氏が発表した。

 RADIANT-3は、進行pNETに対するエベロリムスと支持療法の併用の効果と安全性を評価した試験。低グレードまたは中間グレードの進行pNET患者410人を、エベロリムス(10mg/日)+支持療法群(207人)とプラセボ+支持療法群(203人)に無作為に割り付けた。ただし、増悪(PD)の場合は盲検を解除してよいこととし、プラセボ群ではエベロリムスへの切り替えを認めた。主な結果は既に発表されており(エベロリムスが進行膵内分泌腫瘍の無増悪生存期間を倍以上に延長【WCGC2010】)、今回は詳細な成績が報告された。

 主要評価項目であるPFSの中央値は、治験担当医による評価ではエベロリムス群11.0カ月、プラセボ群4.6カ月で、エベロリムス群で有意に延長していた(HR 0.35、p<0.001)。18カ月時点の無増悪生存率はエベロリムス群34.2%、プラセボ群8.9%で、エベロリムス群が3倍以上の高さだった。中央審査委員会の判定による調整後PFS中央値も、エベロリムス群11.4カ月、プラセボ群5.4カ月とほぼ同じ結果だった。

 過去の化学療法の有無、年齢、人種、地域性、腫瘍グレードなどのサブグループ別のPFSの評価では、すべてのサブグループでエベロリムス群のPFSがプラセボ群よりも有意に優れていた。

 疾患制御率(CR+PR+SDの合計)は、エベロリムス群77.7%、プラセボ群52.7%で、エベロリムス群が有意に高かった。

 また、個々の腫瘍病変のベースラインからの変化をWaterfall Plotによって評価したところ、最良奏効での腫瘍縮小率はエベロリムス群64.4%、プラセボ群20.6%で、エベロリムスの腫瘍縮小効果が認められた。逆に、腫瘍増大率はエベロリムス群22.5%、プラセボ群59.3%だった。

 一方、全生存期間(OS)は、両群で統計学的に有意な差はなかった。OS中央値は両群とも到達しておらず、18カ月時点のOSはエベロリムス群73.1%、プラセボ群73.9%、24カ月時点のOSはそれぞれ57.3%、62.8%だった。ただし、この試験はあくまでPFSの評価を目的としたデザインであり、最終的にはプラセボ群203人のうち148人が増悪後にエベロリムスに切り替えたことを考慮する必要がある。

 エベロリムス群で多かった有害事象は、口内炎(64%)、皮疹(49%)、下痢 (34%)、倦怠感(31%)、悪心(20%)、感染(23%)、末梢浮腫(20%)、食欲低下(20%)などだった。血液学的有害事象で多かったのは貧血(17%)、血小板減少(13%)だった。