転移性大腸癌のファーストライン治療として、標準化学療法+ベバシズマブ併用にヘッジホッグ経路阻害剤GDC-0449を追加しても、標準化学療法+ベバシズマブ併用+プラセボに比べて無増悪生存期間(PFS)は延長されないことが、無作為化フェーズ2試験の結果、明らかになった。10月8日から12日にかけてイタリアのミラノで開催された第35回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で、米国Vanderbilt Medical CenterのJ. Berlin氏が発表した。

 この試験では、進行大腸癌患者199人を標準化学療法(FOLFOXまたはFOLFIRI)+ベバシズマブ+GDC-0449(150mg/日)併用群、または標準化学療法+ベバシズマブ+プラセボ併用群のいずれかに無作為化に割り付け、安全性と有効性を比較検討した。結果の一部は既に発表されており、両群の有害事象は同等だったことが報告されている。(転移性大腸癌の標準化学療法+ベバシズマブ併用にGDC-0449を追加しても副作用は同等、PFSは延長できず【WCGC2010】)

 今回新たに報告された成績のうち、主要評価項目であるPFSの中央値は、プラセボ追加群(解析対象例75人)で10.1カ月、GDC-0449追加群(解析対象例124人)で9.2カ月だった。両群間のハザード比は1.24(95%CI 0.83-1.87)、p=0.30であり、有意差はなかった。

 化学療法の種類別に行った評価でも、FOLFOXと併用した場合のPFS中央値はプラセボ追加群で9.9カ月、GDC-0449追加群で8.2カ月であり、FOLFIRIと併用した場合はプラセボ追加群10.1%、GDC-0449追加群10.5カ月だった。やはり有意差はないものの、どちらの分析でもGDC-0449追加群の方がPFSは不良だった。

 このような成績に終わった理由として、Berlin氏らが着目しているのは、各群における標準化学療法+ベバシズマブの累積投与量の違いだ。FOLFOX/ベバシズマブ群、FOLFIRI/ベバシズマブ群のいずれにおいても、5-FU、オキサリプラチン/イリノテカン、ベバシズマブのそれぞれの累積投与量はすべてGDC-0449追加群の方が少なく、投与期間と投与回数もGDC-0449追加群の方が少なかった。

 5%以上発現したグレード3/4の有害事象で、プラセボ追加群に比べてFOLFOX+ベバシズマブ+GDC-0449群が有意に多かったのは嘔吐(6.6%、プラセボ群は0%)、食欲低下(6.6%、プラセボ群は0%)、脱水(14.8%、プラセボ群は3.2%)、血栓症(6.6%、プラセボ群は0%)だった。プラセボ追加群に比べてFOLFIRI+ベバシズマブ+GDC-0449群で有意に多かったのは体重減少(13.9%、プラセボ群は0%)のみだった。

 Berlin氏は、グレード3/5の有害事象はプラセボ群とGDC-0449群で同等だったと評価した。ただし、GDC-0449追加群では副作用などのために他の併用薬が減量された可能性があり、そのために十分な有効性が得られなかった可能性がある。なお、GDC-0449と他の併用薬との間に、各薬剤の薬物動態に影響を及ぼすような相互作用は認められなかった。

 Berlin氏は最後に、今回の結果は、進行大腸癌に対するファーストライン治療としてのGDC-0449の開発中止を必ずしも意味しないと述べた。