前治療歴のある局所進行性または転移性の非小細胞肺癌(NSCLC)患者に対するEGFRチロシンキナーゼ阻害剤エルロチニブとマルチキナーゼ阻害剤スニチニブの併用は、エルロチニブ単剤と比べて無増悪生存期間(PFS)と客観的奏効率(ORR)を有意に改善するが、全生存期間(OS)の延長効果はないことが報告された。10月8日から12日にかけてイタリア・ミラノで開催された第35回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で、イタリアUniversity of TurinのG.V. Scagliotti氏が発表した。

 この成績は、スニチニブとエルロチニブの併用に関する国際的な無作為化プラセボ対照二重盲検フェーズ3試験の結果で、試験には欧州、北米、南米、アジアの26カ国の計171施設が参加した。

 スニチニブの主な作用標的はVEGFRとPDGFRであり、この試験は、EGFR、VEGFR、PDGFRの3つを標的とする「トリプルターゲット療法」の、進行NSCLCに対するセカンドラインあるいはサードラインの治療法としての効果を評価したものと言える。

 試験の対象は、化学療法による治療を過去に1コースまたは2コース受けたことのある18歳以上の再発性NSCLC患者で、エルロチニブが適応となった960人。スニチニブ+エルロチニブ併用群とエルロチニブ単独群に480人ずつ無作為に割り付け、併用群にはスニチニブ37.5mg/日とエルロチニブ150mg/日を毎日投与し、エルロチニブ単独群にはエルロチニブ150mg/日とプラセボを投与した。主要評価項目はOSとした。

 OS中央値は、スニチニブ+エルロチニブ併用群で9.0カ月(95%CI 8.4-10.2)、エルロチニブ単独群は8.5カ月(7.4-9.8)であり、両群間に有意差は認められなかった(HR 0.922、p=0.1388)。

 一方、PFS中央値は、併用群で3.6カ月(3.00-3.70)、エルロチニブ単独群で2.0カ月(1.90-3.00)であり、併用群が有意に優れていた(HR 0.83、p=0.0023)。ORR(CRとPRの合計)も、併用群の10.8%に対してエルロチニブ単独群は6.9%であり、併用群が有意に優れていた(p=0.0471)。

 単変量Coxモデルを用いた評価で、OSが有意に優れると判断された予後因子は、喫煙歴のない者(喫煙歴のある非喫煙者との比較)、非喫煙者(喫煙中の者との比較)、女性、アジア人(非アジア人との比較)、ECOG PSが0(ECOG PS 1との比較)、転移部位数2以下、非扁平上皮癌(扁平上皮癌との比較)であった。

 主な有害事象は、皮疹、下痢、食欲低下、疲労感などだった。グレード3〜5の有害事象の頻度は、皮疹が併用群17.3%、エルロチニブ群9.6%、下痢が15.9%、2.9%、食欲低下が4.0%、1.5%などであり、併用群の方が高率だった。

 グレード3/4の血液学的有害事象の頻度は、貧血が併用群4.1%、エルロチニブ群3.6%、好中球減少が0.9%、0.5%、血小板減少が0.9%、0.2%だった。

 なお、進行NSCLCに対する類似の併用療法としては他に、高齢者に対するファーストラインとしてのエルロチニブとソラフェニブの臨床試験なども進められている。