前治療歴のある局所再発性・転移性乳癌の患者を対象としてエリブリンと治験医師選択療法を比較したEMBRACE試験のサブ解析の結果、エリブリンは、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、HER-2という3種のホルモン受容体の発現のタイプにかかわらず、すべてのサブグループで患者の全生存期間(OS)を延長したことが明らかになった。10月8日から12日にかけてイタリア・ミラノで開催された第35回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で、英国University of LeedsのChris Twelves氏が発表した。

 この結果は、トリプルネガティブ乳癌患者を含む、既に濃厚な癌治療を受けた局所再発性・転移性乳癌の患者の多くに対して、エリブリンが治療選択肢となりうることを示すものだ。

 EMBRACE試験は、少なくとも2種類の癌化学療法(アントラサイクリン系抗癌剤、タキサン系抗癌剤を含む)による前治療歴のある局所再発性・転移性の乳癌患者762人を対象として、グローバルで実施された多施設、無作為化、非盲検、並行2群間比較試験。治験医師選択療法施行群には、他の単剤化学療法、ホルモン療法、生物学的薬剤療法、緩和療法(実際は適用されず)、放射線療法が含まれた。その結果、エリブリンは、治験医師選択療法に比べて、主要評価項目であるOSを統計学的に有意に延長することが示されている。

 今回のサブ解析は、試験前にあらかじめ定義したサブグループ別に、OSや副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)のハザード比を2群間で評価したもので、サブグループの内訳は、ホルモン受容体の発現のタイプ、転移臓器数、内臓転移の有無とした。カペシタビン既治療の有無などの層別化因子も評価に加えた。

 まず、ホルモン受容体のタイプ別にみたOSのハザード比は、ER/PR陽性が0.83(95%CI 0.64-1.06)、ER/PR陰性が0.66(0.45-0.99)、HER-2陽性が0.76(0.47-1.24)、HER-2陰性が0.81(0.64-1.02)、トリプルネガティブ(ER/PR/HER-2いずれも陰性)が0.71(0.46-1.10)であり、いずれもエリブリン群の方が治験医師選択療法群よりも優れていた。

 また、転移臓器2以下、臓器臓器3以上、内臓転移あり、内臓転移なし、カペシタビン既治療、カペシタビン治療なしの各サブグループでのOSのハザード比はそれぞれ、0.80(0.62-1.04)、0.81(0.57-1.17)、0.77(0.62-0.96)、1.04(0.56-1.91)、0.94(0.62-1.44)、0.77(0.61-0.97)であり、「内臓転移なし」を除くサブグループでエリブリン群の成績が優れていた。

 PFS、ORRについても、治験医師選択療法群の方が優れていたのはHER-2陽性例のPFSなど一部であり、他のほとんどのサブグループでは、全体的な成績に一致して、エリブリン群の成績が優れるとの結果だった。

 以上のサブグループ解析の結果と、試験の主成績、良好な忍容性プロファイルを総合して、Twelves氏は、エリブリンが治療歴のある多様な進行乳癌患者に対する有望な治療選択肢になるとの考えを示した。