転移性トリプルネガティブ(エストロゲン受容体陰性、プロゲステロン受容体陰性、HER-2陰性)乳癌に対し、シスプラチンにEGFR モノクローナル抗体セツキシマブを追加すると、シスプラチン単独に比べて奏効率は高くなり、無増悪生存期間は有意に延長することが、無作為化フェーズ2試験(BALI-1) で明らかになった。米国Massachusetts General Hospital/Harvard Medical SchoolのJose Baselga氏らが、10月8日から12日にイタリアのミラノで開催された第35回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表した。

 フェーズ2試験は、ステージ4のトリプルネガティブ乳癌で、前治療は1回以下の患者173人を対象に、セツキシマブとシスプラチンを併用する群とシスプラチンのみの群を2対1に無作為に分けた(セツキシマブ併用群115人、シスプラチン単独群58人)。

 セツキシマブは初回用量を400 mg/m2、その後は 250 mg/m2として毎週投与した。シスプラチンは3週置きに75 mg/m2を第1日に6サイクル投与した。シスプラチン群で最初の6週間までに病勢進行した場合はセツキシマブ併用に、6週間以降で病勢進行した場合はセツキシマブ単独に変更できるとした。

 シスプラチン単独群のうち、最初の病勢進行後、セツキシマブとシスプラチンの併用に17人が移行し、セツキシマブ単独に13人が移行した。化学療法による前治療のある患者はセツキシマブ併用群で27%、シスプラチン単独群で27.6%だった。

 主要評価項目である奏効率はセツキシマブ併用群で20.0%(95%信頼区間 13.1-28.5)、シスプラチン単独群で10.3%(同3.9-21.2)だった。事前に、奏効率は20%を超えることで、統計的にα=0.1 (two sided)、検出力80%に達すると設定されていたが、奏効率は20%を超えなかった。しかし有意差はなかったものの、セツキシマブの追加で奏効率はおよそ2倍高くなった(オッズ比 2.126、95%信頼区間 0.809-5.591、p=0.11)。

 無増悪生存期間(PFS)の中央値はセツキシマブ併用群で3.7カ月、シスプラチン単独群で1.5カ月であり、セツキシマブの追加で、無増悪生存期間は有意に改善した(ハザード比0.67、95%信頼区間 0.47-0.97、p=0.03)。

 グレード3/4の有害事象はセツキシマブ併用群で60.5%、シスプラチン単独群で42.1%に見られた。主なグレード3/4の有害事象は、好中球減少がそれぞれ9.6%、5.3%、疲労が8.8%、 7.0%、呼吸困難が6.1%、1.8%、吐き気と嘔吐が4.4%、5.3%だった。またセツキシマブ併用群ではざ瘡様皮疹が14.0%に見られたが、新たな有害事象は認められなかった。