選択的c-Met阻害剤のARQ197は、日本人ではCYP2C19の代謝活性が弱い患者(PM患者)と十分な患者(EM患者)に分けて投薬する必要があることが明らかとなった。CYP2C19の代謝活性の低い患者が白色人種よりもアジア人で多いことが報告されており、将来は日本人では遺伝子検査を行ってから投薬を行うことになりそうだ。EMの固形癌患者には1日2回360mgまで安全に投与でき、フェーズ2試験の推奨用量は1日2回360mgとなった。日本で行われたフェーズ1試験の結果示されたもの。成果は10月8日から12日にイタリアミラノで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で、静岡がんセンター呼吸器内科部長の山本信之氏によって発表された。

 フェーズ1試験は、EM患者は1日2回70mg投与群に3人、1日2回90mg投与群に2人、1日2回120mg投与群に2人、1日2回150mg投与群に3人、1日2回180mg投与群に4人、1日2回240mg投与群に4人、1日2回300mg投与群に6人、1日2回360mg投与群に6人が登録された。PM患者は1日2回90mg投与群に1人、1日2回120mg投与群に3人、1日2回150mg投与群に3人が登録され、1日2回240mgを投与する群の試験が進行中だ。

 薬物動態を調べてみると、PM患者ではEM患者に比べて同一投与量でも暴露量は多いことが明らかとなった。投与1日目でのAUC0-12は、EM患者では120mg投与で13900±8600ng・h/mL、150mg投与で20500±9300ng・h/mLだったのに対して、PM患者では120mg投与で32700±3500ng・h/mL、150mg投与で24800±9100ng・h/mLだった。

 EM患者(33人、非小細胞肺癌17人、大腸癌7人、胃癌3人など)で多く見られた副作用は倦怠感、白血球数減少、ヘモグロビン減少、好中球数減少、食欲低下だった。1日2回300mg投与群で3件の用量制限毒性(DLTが認められた。

 1人の患者がグレード4の好中球減少とグレード3のGGT(γグルタミルトランスフェラーゼ)上昇を起こし、1人の患者がグレード4の好中球球減少を発現した。プロトコール変更で好中球減少のDLTの定義を7日を超える持続とした後では、1日2回360mg投与群にDLTは出現せず1日2回360mgがEM患者の推奨用量となった。

 奏効例はなかったものの40人の患者のうち12人で16週を超える治療成功期間(Time to Treatment Failure;TTF)が認められた。非小細胞肺癌患者では20人中6人で28週を超えるTTFが認められた。