EGFR遺伝子変異陽性の進行期非小細胞肺癌(NSCLC)患者に対するファーストライン治療としてのエルロチニブとゲムシタビンの効果を比較したOPTIMAL試験の被験者では、EGFR遺伝子の活性化変異以外に、肺癌と関連のあるバイオマーカーはほとんど認められなかったことが分かった。中国Guangdong General HospitalのYi-long Wu氏が、10月8日から12日までイタリアのミラノで開催された第35回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表した。

 OPTIMAL試験は、中国で実施された多施設共同フェーズ3試験で、EGFR遺伝子に活性化変異(エクソン19の欠失、またはエクソン21の858番目のLがRとなるL858R変異)のあるNSCLC患者を対象としている。その結果、主要評価項目とした無増悪生存期間(PFS)のほか、奏効率、安定状態(SD)を加えた疾患制御率がいずれもエルロチニブ群で有意に優れていたことが今回のESMOで発表されている。

 Wu氏らは、OPTIMAL試験のサブ解析として、肺癌との関連が知られている遺伝的バイオマーカーの意義を評価するために、EGFR遺伝子の活性化型変異のタイプの違いがエルロチニブとゲムシタビンの治療効果に及ぼす影響について検討するとともに、肺癌で同定されている他の遺伝子変異の有無についても調べた。

 まず、EGFR遺伝子の活性化変異のタイプと治療効果の関連については、エクソン19欠失のある患者では、エルロチニブ群のPFSは15.3カ月、ゲムシタビン群は4.6カ月で、エルロチニブによるPFSの有意な延長が認められた(HR 0.13、p<0.0001)。L858R変異のある患者でも同様に、エルロチニブ群でPFSの有意な延長が認められた(エルロチニブ群のPFSは12.5カ月、ゲムシタビン群は4.6カ月、HR 0.26、p<0.0001)。

 一方、エルロチニブ群において、エクソン19欠失例とL858R変異例との間にPFSの有意差は認められず(エクソン19欠失例のPFSは15.3カ月、L858R変異例では12.5カ月、HR 0.58、p=0.0567)、ゲムシタビン群でも同様だった(エクソン19欠失例、L858R変異例ともPFSは4.6カ月、HR 1.24、p=0.4113)。

 他のバイオマーカーとしては、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬耐性をもたらすEGFR遺伝子のT790M変異のほか、KRAS、PTEN、HER2、BRAF、PIK3CA各遺伝子の変異の有無を調べ、さらに種々の癌で活性化が認められる受容体型チロシンキナーゼであるc-METの増幅の有無とPFSの関連についても評価した。

 その結果、解析可能対象となった154例では、EGFR遺伝子のT790M変異が1例に認められた以外に、他の遺伝子の変異は全く認められなかった。T790M変異があったこの患者(エルロチニブ群)のPFSは0.62カ月だった。

 また、c-METの増幅の有無にかかわらず、PFSはエルロチニブ群の方が有意に長く、エルロチニブ群、ゲムシタビン群ともにc-METの増幅の有無によるPFSの差は認められなかった。

 以上の結果から、Wu氏は、「他の報告と同様に、EGFR遺伝子に活性化変異のあるNSCLC患者では他の遺伝子変異はまれだった。c-METの増幅もこれらの患者における治療効果の予測には役立たず、現在のところ、治療法の選択に影響を及ぼす可能性のある他のバイオマーカーは認められない」と結論した。