未治療またはサイトカイン治療歴がある進行腎細胞癌患者を対象とした経口マルチキナーゼ阻害剤パゾパニブのフェーズ3試験において、パゾパニブはプラセボに対し全生存期間(OS)の最終報告で有意差を示すことができなかった。プラセボからのクロスオーバーが早い段階に高い割合で行われ、パゾパニブの投与が長期となったためとみられる。クロスオーバーに関する調整を行うと、パゾパニブのOSに対するベネフィットが示された。10月8日から12日にかけてイタリア・ミラノで開催された第35回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で、イタリアSan Camillo and Forlanini HospitalsのCora. N. Sternberg氏が発表した。

 パゾパニブは血管内皮細胞成長因子受容体(VEGFR)、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)、c-kitを標的とし、血管新生阻害作用を示す。

 この進行腎細胞癌患者に対するパゾパニブの有効性を評価する無作為化二重盲検のフェーズ3試験は、未治療またはサイトカインベースの治療に不応の局所進行または転移性の腎細胞癌で、組織型が淡明細胞癌の患者435人を対象とした。患者を2対1の割合で、パゾパニブ800mgを1日1回投与する群(290人)と、プラセボを投与する群(145人)に無作為に割り付け、病勢進行(SD)や死亡、受容不能な毒性が発現するまで投与を継続した。プラセボ群でPDとなった場合は非盲検に切り替え、パゾパニブを投与した。

 両群ともに、転移した臓器が3個以上の患者は50%を超え、肺転移は70%を超えていた。前治療については、未治療の患者がパゾパニブ群53%、プラセボ群54%、サイトカインベースの前治療を受けた患者が47%と46%だった。

 主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)については、パゾパニブで有意に延長したことが2008年5月の最終解析からすでに報告されていた。この時点でOSは中間解析の段階であったが、パゾパニブ群で延長することが予測されていた。

 Sternberg氏は、副次的評価項目のOSについて290人が死亡した時点で最終解析を行い、安全性とともに今回報告した。

 OSの中央値は、パゾパニブ群22.9カ月、プラセボ群20.5カ月となった(HR:0.91、95%CI 0.71〜1.16、p=0.224)。生存曲線は無作為化から約20カ月の時点までは明確に分離したが、その後は重複した。理由として、プラセボからパゾパニブへのクロスオーバーが無作為化から6週以降という早い時期から、さらにプラセボ群の54%という高い割合で行われ、結果的にクロスオーバーしてからのパゾパニブの投与が長期間となったためと考えられた。

 プラセボからクロスオーバーした患者のパゾパニブの投与期間は9.7カ月で、最初の無作為化からパゾパニブを投与した患者の投与期間の7.4カ月より長かった。また12カ月以上パゾパニブを投与したのは、プラセボからクロスオーバーした患者で43%、最初の無作為化からパゾパニブを投与した患者で32%だった。

 ただし、クロスオーバーに関する調整をInverse probability of censoring weighted(IPWC)で行うと、パゾパニブ群はプラセボ群と比べて死亡のリスクを50%減少させることが示された。Rank preserving structural failure time(RPSFT)解析でもこの値は57%となった。

 パゾパニブ群の曝露量はPFSの最終解析時から30%増加しているが、有害事象の種類や頻度、重症度は、これまでの報告と比べて大きな変化はみられなかった。新たな安全性に関するシグナルも認められなかった。