高度催吐性化学療法(HEC)の急性期および遅発期の悪心・嘔吐に対するパロノセトロンの有効性をグラニセトロンと比較したPROTECT試験について、悪心に関する詳細なサブ解析の成績が公表された。

 遅発期(HEC開始後24時間〜120時間)のどの日もパロノセトロンの方がグラニセトロンよりも悪心のない患者の割合が高く、年齢、性別、化学療法の種類によるサブグループ解析では、特に若年者と女性で悪心のない割合が高かったというのが主な結果。研究グループを代表して、国立がんセンター中央病院の久保田馨氏が、10月8日から12日までイタリアのミラノで開催された第35回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表した。

 PROTECT試験は、国内で実施された多施設共同二重盲検無作為化フェーズ3試験で、シスプラチン(CDDP、50mg/m2以上)またはアントラサイクリン系薬剤+シクロフォスファミド(AC/EC)による化学療法を施行した癌患者に対して、第2世代の5-HT3受容体拮抗型制吐剤パロノセトロン(0.75mg)またはグラニセトロン(40μg/kg)のそれぞれをデキサメタゾンと併用し、悪心・嘔吐に対する効果を比較した。

 その結果、解析可能であったパロノセトロン群555人、グラニセトロン群559人において、主要評価項目のうち急性期(HEC開始後0〜24時間)の嘔吐完全抑制率(CR)についてはパロノセトロンの非劣性が、遅発期のCRについてはパロノセトロンの優越性が既に証明されている(Saito M, et al. Lancet Oncol 2009;10:115-24)。

 今回のサブ解析は、特に悪心に限定して評価したもの。悪心の評価には、自己評価によるスコア0「悪心なし」からスコア3「高度の悪心」までの4段階のLikertスケールを用い、「悪心なし」の患者の割合をHEC開始から24時間毎および全期について各群で比較した。また、年齢(55歳以上と55歳未満)、性別、化学療法の種類(CDDP、AC/EC)別のサブグループについても、「悪心なし」の患者の割合を比較した。

 まず、HEC開始から24時間毎の「悪心なし」の患者の割合は、第1日(急性期、0〜24時間)にはパロノセトロン群58.7%、グラニセトロン群59.9%と有意差がなかったが、遅発期では、第2日が53.5%対46.3%、第3日が52.0%対45.1%、第4日が51.1%対41.9%、第5日が61.9%対54.7%と、どの日もパロノセトロン群の方が悪心なしの割合が有意に高かった。全期についても同様の結果だった。

 年齢によるサブグループ解析では、55歳以上の遅発期、55歳未満の遅発期と全期でパロノセトロン群の方が悪心なしの割合が有意に高かった。性別によるサブグループ解析では、特に女性で遅発期、全期ともにパロノセトロン群の方が悪心なしの割合が有意に高かった。化学療法の種類別の解析では、CDDP開始後の第4日と第5日、AC/EC開始後の第2日と第3日でパロノセトロン群の方が悪心なしの割合が有意に高かった。

 それ以外のサブグループについても、AC/EC開始後の第5日を除き、遅発期と全期における悪心なしの割合はパロノセトロン群の方が高かったが、有意差は認められなかった。また、急性期にはどのサブグループでも有意差は認められなかった。

 久保田氏は、以上の成績から、パロノセトロンがHECによる遅発期の悪心の抑制に有効であると結論した上で、「若年者と女性は悪心・嘔吐の高リスク群であるため、特にこれらの群でパロノセトロンの有効性が高かったことには大きな意義がある」と強調した。