BRAFの変異を有する黒色腫の脳転移に対し、選択的なATP拮抗的BRAFキナーゼ阻害剤GSK2118436が高い有効性を示すことが、フェーズ1/2試験から示された。10月8日から12日にかけてイタリア・ミラノで開催されている第35回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で、オーストラリアのMelanoma Institute Australia/University of Sydney at Westmead Hospital のGeorgina.V. Long氏が発表した。

 黒色腫の脳転移は初回診断時に15〜20%の患者に認められ、剖検時には70%に上る。全生存期間(OS)は脳転移が診断されてから16週以下である。これまでのところ、全身療法による奏効率は10%前後に過ぎず、OSを延長する全身療法は報告されていない。

 新規のATP拮抗的BRAFキナーゼ阻害剤GSK2118436について、フェーズ1/2試験が行われた。この試験は2つのパートから成り、パート1に登録された転移性黒色腫患者のうち、BRAFの変異を有する患者のサブセットにおいて、未治療で無症候性の脳転移がある患者の腫瘍の縮小が認められた。

 パート2では全例をBRAF V600E、BRAF V600K、BRAF V600Dの変異を認める患者とし、コホートAは黒色腫患者20人、コホートBは非黒色腫の患者20人、さらに3つ目のコホートとして無症候性の3mm以上の脳転移がある黒色腫患者10人が加えられた。脳転移に対しては、手術、全脳照射、定位放射線治療を受けていない患者とした。

 今回Long氏らは、脳転移がある10人(うち男性6人、年齢中央値59歳)のサブグループ解析を行った。BRAF V600Eの変異を認めたのは9人、BRAF V600Kの変異を認めたのは1人だった。前治療を受けた回数が1回の患者は4人、2回以上の患者は3人だった。脳転移の数が3個以上の患者は3人だった。

 GSK2118436は推奨用量の150mgを1日2回投与し、ガドリウム造影剤を用いたMRIで頭蓋内の奏効を評価した。

 3mm以上の脳転移があった10人中、8人でベースラインからの腫瘍の縮小が最大50%以上となり、奏効率は80%となった。奏効した8人中3人は100%を示す完全奏効(CR)だった。CRを達成した3人は20代が2人、60代が1人で、いずれもBRAF V600Eの変異を有した。奏効を示さなかった2人も安定状態(SD)となった。

 また脳転移における奏効は、乳房や腋窩、肝臓、膵臓などの頭蓋外転移の奏効と相関していた。

 GSK2118436による治療は、パート1の脳転移の患者では40週以上、パート2の10人でも約10週以上継続されており、効果の持続性も示唆されている。

 グレード3以上の有害事象の発現は、貧血2人(20%)、疲労感、発熱、脱水、嘔気が各1人(10%)で、脳転移がない黒色腫患者と同様の発現状況だった。

 脳に対するGSK2118436の作用機序の詳細については、現在検討中である。Long氏は「腫瘍遺伝子のBRAFを阻害する特性がGSK2118436で開発されたことは重要」と話した。

 脳転移を含むBRAF V600の変異を有する黒色腫に対するGSK2118436のフェーズ2試験が予定されている。