トリプルネガティブ乳癌において、リポソームにパクリタキセルを内包化させた製剤である「EndoTAG-1」とパクリタキセルの併用は、無増悪生存率や奏効率に優れていることが、フェーズ2試験で明らかになった。ベルギーInstitut J. BordetのA. Awada氏らが、10月8日から12日にイタリアのミラノで開催された第35回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表した。

 エストロゲン受容体(ER)陰性、プロゲステロン受容体(PgR)陰性、HER2陰性の、いわゆるトリプルネガティブ乳癌は、乳癌全体のおよそ15%を占め、このうち30%は転移性乳癌になる。しかしアントラサイクリン系抗癌剤やタキサン系抗癌剤を投与した後の治療は限られている。

 「EndoTAG-1」は、陽イオンの電荷を帯びたリポソームにパクリタキセルを内包化させた製剤。陰イオンの電荷を帯びた腫瘍血管の内皮細胞をターゲットとして、血管新生を阻害し、抗腫瘍効果を示す。

 フェーズ2試験は、局所再発もしくは転移性のトリプルネガティブ乳癌患者140人を対象に、以下の3群に分けて治療した。まずEndoTAG-1を毎週22mg/m2投与し、さらにパクリタキセル70mg/m2を毎週投与する群(ET+P群)、次に週2回EndoTAG-1のみを44mg/m2投与する群(ET群)、そしてパクリタキセルのみを90mg/m2毎週投与する群(P群)とした。

 ET+P群(55人)のうち転移性乳癌は82%、ET群(57人)では91%、P群(28人)では100%を占めた。化学療法による前治療のある患者はいずれの群でも約80%、タキサン系抗癌剤による術前もしくは術後補助療法を受けた患者はそれぞれ29%、42%、28%だった。

 主要評価項目である16週の無増悪生存(PFS)率は、ET+P群では59%(95%信頼区間43-74)、ET群は34%(同20-51)、P群は48%(同28-69)で、無増悪生存期間の中央値はそれぞれ4.2カ月(95%信頼区間3.5-9.1)、3.4カ月(同2.0-3.8)、3.7カ月(同1.9-6.7)だった。

 抗腫瘍効果もET+P群で高く、16週での臨床的ベネフィット率がET+P群で59%、ET群は34%、P群は50%、16週での奏効率はそれぞれ25%、5%、38%だった。また最も良かったときの臨床ベネフィット率は76%、58%、58%で、ET+P群では部分奏効が34%、病勢安定が42%であった。

 グレード3/4の有害事象は、好中球減少がET+P群で20%、ET群は4%、P群は7%、白血球減少はそれぞれ7%、2%、0%、貧血はP群で7%、血小板減少はET群で4%に見られた。グレード3/4の発熱がET+P群とET群で各2%、悪寒がET群で2%、消化器症状(吐き気、下痢、嘔吐、便秘、口渇)がET+P群とET群で各2%、皮膚障害がET+P群が4%、P群が7%だった。

 また全グレードの末梢感覚神経障害がそれぞれ13%、9%、14%に見られた。EndoTAG-1の安全性プロファイルは悪寒と発熱を除いてパクリタキセルで報告されたものと同じであり、忍容性も認められた。