ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤BSI-201(iniparib)は、ゲムシタビン+カルボプラチンとの併用で、エストロゲン受容体(ER)陰性、プロゲステロン受容体(PgR)陰性、HER2陰性のいわゆるトリプルネガティブ乳癌に対し、奏効率、臨床的ベネフィット率、無増悪生存期間、全生存期間を有意に改善することが、フェーズ2試験の最終報告で確認された。米国Baylor Sammons Cancer Centerの Joyce O’Shaughnessy氏らが、10月8日から12日にイタリアのミラノで開催された第35回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表した。

 フェーズ2試験は、転移性トリプルネガティブ乳癌患者123人を対象に、ゲムシタビンとカルボプラチンのみを投与する群(G/C群)と、ゲムシタビンとカルボプラチンに加え、BSI-201を投与する群(BSI-201併用群)に無作為に割り付けた。21日置きに、ゲムシタビン1000mg /m2とカルボプラチンAUC=2を第1日と第8日に投与し、BSI-201群にはBSI-201を第1日と第4日、第8日、第11日に5.6mg/kgを投与した。

 ITT解析で奏効率はG/C群が32.3%、BSI-201併用群は52.5%(p=0.023)、臨床的ベネフィット率(CR+PR+6カ月以上のSD)は、G/C群は33.9%だが、BSI-201併用群では55.7%だった(p=0.015)。またITT解析で無増悪生存期間(PFS)中央値は、G/C群が3.6カ月(95%信頼区間2.6-5.2)、BSI-201併用群は5.9カ月(同4.5-7.2)で、ハザード比0.59(同0.39-0.90)、p値は0.012だった。

 ITT解析で全生存期間(OS)中央値は、G/C群が7.7カ月(同6.5-13.3)であるのに対し、BSI-201併用群では12.3カ月(同9.8-21.5)と、およそ5カ月もの延長が認められた。ハザード比0.57(同0.36-0.90)、p値は0.014だった。なおG/C群のうち30人(48%)はBSI-201併用にクロスオーバーし、BSI-201投与サイクルは中央値で1.5回(1〜8回)だった。

 2群とも新たな副作用はなかった。主なグレード3/4の有害事象は、好中球減少、血小板減少、貧血、白血球減少、疲労、下痢、吐き気、嘔吐で、G/C群の発生頻度は81%、BSI-201併用群は86%、重篤な有害事象はそれぞれ29%、28%だった。またG/C群の27%、BSI-201併用群の14%は有害事象のため治療を中止した。

 BSI-201ではトリプルネガティブ乳癌を対象としたフェーズ3試験が2010年2月に開始されており、現在までに500人以上が登録している。またトリプルネガティブ乳癌を対象に、BSI-201の術前・術後補助療法の試験も計画されているという。このほか、肺扁平上皮癌を対象としたフェーズ3試験や卵巣癌、膵臓癌、脳腫瘍に対しても試験が行われている。