転移性大腸癌の初回治療として、5-FUとロイコボリン、オキサリプラチンによるFLOX療法に、セツキシマブを追加しても、上乗せ効果は認められないことが、北欧で実施された無作為化フェーズ3試験(NORDIC VII) で明らかになった。ノルウェーOslo University HospitalのKjell Magne Tveit氏らが、10月8日から12日にイタリアのミラノで開催されている第35回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表した。

 転移性大腸癌の初回治療については、フェーズ3のCRYSTAL試験で、イリノテカンベースの化学療法(FOLFIRI療法)とセツキシマブ併用の有効性が報告されている。またFOLFOX療法とセツキシマブ併用の有効性もフェーズ2のOPUS試験で示された。しかしフェーズ3のCOIN試験では、オキサリプラチンベースの化学療法へのセツキシマブの追加は有効性が認められなかった。

 今回の結果から、Tveit氏は、「転移性大腸癌では、オキサリプラチンとセツキシマブとの組み合わせは良くないのかもしれない」とコメントした。

 NORDIC VII試験は、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランド、アイスランドの転移性大腸癌566人を対象とした。治療は3群に分けられ、1つの群には2週間置きに、オキサリプラチン85 mg/m2を第1日に、5-FU bolus 500 mg/m2とロイコボリン60 mg/m2を第1日と2日に投与した(Nordic FLOX療法、A群)。2つめの群には、病勢進行まで、A群と同様にFLOX療法を投与し、セツキシマブを第1日に400 mg/m2、その後は250 mg/m2を毎週投与した(B群)。もう1群にはFLOX療法を16 週間投与し、セツキシマブを継続的に投与した。

 2005年5月から2007年10月までに571人が登録され、 ITT(intention to treat)解析は566人で行われた。主要評価項目である無増悪生存期間 (PFS)の中央値は、A群で7.9カ月、B群で8.3カ月、C群で7.3 カ月だった。A群に対するB群のハザード比は0.89(95%信頼区間 0.72-1.11)、p値は0.31で、有意差は認められなかったが、治療12カ月の時点ではB群のPFSはA群を上回っていた。

 奏効率はA群で41%、B群は49%、C群は47%、A群とB群のオッズ比は1.35、p値は0.15。また治療によって治癒切除ができたのは、A群で8%、B群で11%、C群で6%であった。

 全生存期間(OS)の中央値はA群が20.4カ月、B群は19.7カ月、C群は20.3カ月で、A群に対するB群のハザード比は1.06、p値は0.67であり、A群に対するC群のハザード比は1.03、p値は0.79と、セツキシマブの追加で有意な改善は見られなかった。

 KRASとBRAF変異の解析はそれぞれ498人、 457人に行われ、KRAS変異は39%、BRAF変異は12%に見られた。 KRAS変異によるサブグループでは、KRAS変異型と野生型でPFSもOSも有意な違いはなかった。しかしBRAF変異では、変異型患者のPFSとOSは野生型比べて有意に短く、BRAF変異は予後不良因子であった。

 また、KRAS変異型において、A群のPFS中央値は7.8カ月、B群は9.2カ月(ハザード比0.71、p=0.07)、KRAS野生型ではA群とB群のPFSに大きな違いはなかった。またOSはKRAS野生型でも変異型でも群間に有意差はなかった。なお有意差がなかったことに関して、「確実なデータではない」と述べた。