anaplastic lymphoma kinase(ALK)融合遺伝子を有する非小細胞肺癌(NSCLC)患者では、前治療の有無や治療の回数に関わらずPF-02341066(crizotinib)が奏効を示し、安全で忍容性も良好であることが示された。10月8日から12日までイタリア・ミラノで開催されている第35回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で、米コロラド大学Cancer CenterのD.R. Camidge氏が発表した。

 ALK融合遺伝子はNSCLCの約3〜5%に存在する。この遺伝子はechinoderm microtubule associated protein-like4(EML)遺伝子とALK遺伝子が染色体転座により融合した特殊なもので、腺癌の非喫煙者または軽度の喫煙者に発現することが多い。このような患者では、上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)に対する反応が乏しい。

 crizotinibは、c-METとALK受容体チロシンキナーゼを強力かつ選択的に阻害するよう開発された経口剤。

 Camidge氏らは、非盲検の多施設共同のフェーズ1試験のパート1で検証された毒性、最大耐用量(MTD)、薬物動態の結果をもとに、同試験のパート2としてALK融合遺伝子を有するNSCLC患者のコホートを拡大し、crizotinibの安全性と臨床的な活性を検証した。

 患者の前治療は問わないこととし、また脳転移に対する治療を受けて安定状態が2週以上持続している患者も適格とした。

 crizotinibは250mgを1日2回投与し、28日を1サイクルとした。病勢進行(PD)または忍容不能な有害事象が発現するまで継続した。

 2010年8月7日の時点で113人(うち男性57人、年齢中央値52歳)の患者が登録された。患者の93%は1回以上の前治療を受けており、未治療の患者は5.3%のみだった。患者の31%は3回を超える前治療を受けていた。組織学的には腺癌が96.5%、非喫煙者または前喫煙者が99%を占めた。

 評価が可能だった患者105人において、完全奏効(CR)と部分奏効(PR)を合わせた客観的奏効率(ORR)は56.2%だった。ORRを認めた患者において、奏効が持続した期間の中央値は36.3週だった。

 ORRは前治療の回数に非依存性で、未治療の患者で50.0%、前治療の回数が1回、2回、3回、4回以上の患者では、60.0%、55.6%、62.5%、52.9%となった。性別やPSの0と1よる差もみられなかった。きわめて急速に奏効を認めたケースも複数あり、そのうちの1人では巨大な腫瘍が顕著に縮小し、症状が3日以内に改善した。

 PFSの中央値は9.2カ月だった。47.8%の患者については現在もPFSのフォローアップ継続中である。6カ月時のPFSの予測値は71.3%となった。

 PDとなった患者は31.9%(36人)だった。うち15人については、試験担当医師の臨床的なベネフィットを得られるとの判断により、その後も2週間以上crizotinibの投与を継続し、さらにそのうち5人は6カ月を超える長期間の投与を受けた。

 有害事象として多く発現したのはグレード1または2の消化管の毒性で、嘔気52%、下痢50%、嘔吐42%などの割合で観察された。視力障害は45%に発現した。グレード3または4の治療に関連する有害事象として、ALTとASTの上昇が各4人にみられた。また1人にグレード3の肺炎が発現した。

 Camidge氏は、「crizotinibはALK融合遺伝子を有するNSCLC患者の新しい標準治療となる可能性がある」としている。