不可逆的Pan-ErbB受容体チロシンキナーゼ阻害剤neratinibHKI-272)とパクリタキセルの併用は、乳癌を含む進行性固形癌において、安全に投与でき、乳癌患者では抗腫瘍効果も認められることが、日本で行われたフェーズ1試験で明らかになった。癌研有明病院化学療法科の伊藤良則氏らが、10月8日から12日にイタリアのミラノで開催されている第35回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表した。

 NeratinibはErbB1(EGFR)とErbB2(HER2)、ErbB4を不可逆的に阻害する製剤。海外のフェーズ2試験ではErbB2陽性の進行性乳癌で抗腫瘍効果と忍容性が報告されている。また推奨用量はneratinib 240mgとされ、ErbB2陽性の転移性乳癌を対象に、パクリタキセル80mg/m2の毎週投与と併用するフェーズ1/2試験が進行している。

 日本のフェーズ1試験では、登録患者10人のうち、9人は乳癌、1人は傍神経節腫(paraganglioma)だった。3人はneratinibを160mg、7人には240mgが投与された。パクリタキセルは28日置きに、80mg/m2を第1日、8日、15日に投与された。

 治療関連の有害事象は、下痢が全員に認められ、グレード1がneratinib 160mg群で2人、240mg群で2人、グレード2は240mg群で2人、グレード3が160mg群で1人、240mg群で3人だった。下痢の発生は治療開始から中央値で2.5日(1日から28日)、発生期間の中央値は2日(1日から49日)。

 また白血球減少が10人、脱毛と貧血、疲労、好中球減少、末梢感覚神経障害が各8人に認められた。グレード3以上は、下痢が4人、好中球減少が3人、貧血と白血球減少、リンパ球減少、疲労、爪障害が各1人だった。用量制限毒性(DLT)は見られず、有害事象による治療中止もなかった。このため推奨用量はneratinib 240mgとパクリタキセル80mg/m2と決定された。

 抗腫瘍効果は、部分奏効が4人(すべて乳癌)、病勢安定が3人で、奏効率は40%だった。また薬物動態(PK)プロファイルも海外の併用療法および単剤療法のデータと一致していた。