抗Met受容体抗体であるMetMAbエルロチニブへの追加は、エルロチニブ単独に比べて、Met高発現の進行性非小細胞肺癌患者で、無増悪生存期間と全生存期間を延長させることが、フェーズ2試験(OAM4558g)で明らかになった。一方、Met低発現の患者ではMetMAb併用のほうが予後は悪かった。米国Sarah Cannon Cancer CenterのDavid R. Spigel氏らが、10月8日から12日にイタリアのミラノで開催されている第35回欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表した。

 MetMAbはMet受容体に特異的に結合して、そのリガンドである肝細胞増殖因子(HGF)とMetの経路を阻害するモノクローナル抗体。このフェーズ2試験は、MetMAbとEGFRチロシンキナーゼ阻害剤エルロチニブを併用することで、MetとEGFRのデュアル阻害の効果を検討した。

 試験は、ステージ3B/4の非小細胞肺癌(NSCLC)患者を対象に、無作為化多施設共同二重盲検プラセボ対照試験として、MetMAbとエルロチニブの併用(MetMAb併用群)もしくはプラセボとエルロチニブの併用(エルロチニブ群)によるセカンドラインあるいはサードライン治療を比較した。

 MetMAbは3週置きに15mg/kgを静注し、エルロチニブは1日1回150mgを経口投与した。エルロチニブ群で増悪が見られた場合はMetMAb併用群にクロスオーバーした。主要評価項目は全患者における無増悪生存期間(PFS)とMet高発現の患者におけるPFSとした。

 2009年3月から2010年3月までに 128人が登録し、エルロチニブ群の23人がMetMAbの投与を追加した。癌組織からMet発現を121人で調べたところ、Met高発現はエルロチニブ群で50.8%、MetMAb併用群で56.5%だった。またEGFRとKRASを調べた112人では、EGFR変異はエルロチニブ群で10.7%、MetMAb併用群で12.5%、KRAS変異はそれぞれ23.2%、23.2%だった。

 2010年6月8日までの時点で、無増悪生存期間(PFS)は85イベント、全生存期間(OS)は49イベント発生した。ITT解析ではPFS中央値はエルロチニブ群が11.1週、MetMAb併用群は9.6カ月で、ハザード比は1.09 (95%信頼区間 0.71-1.67、p=0.6988)、全生存期間(OS)中央値はそれぞれ8.2カ月、7.1カ月で、ハザード比は1.09 (同0.62-1.91、p=0.7642)。

 Met高発現の患者では、エルロチニブ群のPFS中央値は6.4週だが、MetMAb併用群は12.4週と長く、ハザード比は0.56(95%信頼区間 0.31-1.02、p=0.0547)だった。OS中央値はそれぞれ7.4カ月、7.7カ月、ハザード比は0.55(同0.26-1.16、 p=0.1113)であった。一方、Met低発現の患者ではPFS中央値がそれぞれ11.4週、6.0週、ハザード比は2.01(同 1.04-3.91、p=0.0354)。OS中央値は9.2カ月、5.5カ月で、ハザードは3.02(同 1.13-8.11、p=0.0212)と、MetMAb追加のほうが予後不良であった。

 主な副作用は皮疹、下痢、疲労で、発生頻度は両群でほぼ同じだった。ただし末梢性浮腫はMetMAb併用群で多かった。グレード3以上の有害事象は、Met高発現患者ではエルロチニブ群が53.3%、MetMAb併用群は54.3%とほぼ同じだが、Met低発現患者ではエルロチニブ群は34.5%で、MetMAb併用群は51.9%と、MetMAb併用群のほうが発生頻度は高かった。

 また、Met発現が高いほど予後は悪く、Met低発現に対するMet高発現のPFSハザード比は1.73(95%信頼区間 0.93-3.23、p=0.0817)で、OSハザード比は2.52(同1.04-6.13、p=0.035)だった。