マントル細胞リンパ腫(MCL)の初回治療として同種幹細胞移植は有用か否かについて、6月14日からオランダ・アムステルダムで開催された欧州血液学会(EHA 2012)のLunch Debateセッション「Is allo-BMT useful for first line therapy of Mantle Cell Lymphoma?」で議論された。同種移植を反対する立場から発表したスイスOncology Institute of SouthernのMichele Ghielmini氏は、初回治療は自家移植を行い、同種移植は再発時に行うべきとの考えを主張。それに対し、同種移植を支持する立場から発表したスペインUniversity Hospital of SalamancaのDolores Caballero氏は、予後不良の患者には初回治療として同種移植は検討価値があると話した。

 Caballero氏によれば、MCLは、非ホジキンリンパ腫の約6%、患者の年齢中央値は63歳、男性が74%を占める。濾胞性リンパ腫(FL)やびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に比べて予後が悪い。

 若年進行MCL患者に対する初回治療としては、R-CHOP療法などによる強化免疫化学療法を行い、続いてリツキシマブを伴うシタラビン(AraC)などの大量化学療法、さらに自家幹細胞移植(ASCT)による地固め療法が主に行われている。

 その背景として、リツキシマブやAraCを使う化学療法では、例えばR-CHOP療法ではCR率は34-48%、奏効率は94-96%、R-HyperCVAD/MA療法ではCR率は58-87%、奏効率は88-97%と、高い奏効性が示されている。ただし微少残存病変(MRD)がある場合はその予後は必ずしも良くない。そこで地固め療法としてASCTを行うことで、生存は改善する。

 Nordic Lymphoma Groupは、強化R-CHOP療法とAraC大量化学療法後にリツキシマブによる幹細胞採取、BEAM療法あるいはBEAC療法とASCTにより、5年生存率は75%、5年無イベント生存(EFS)率は63%と報告している(MCL-2試験)。

 同種移植に反対する立場のGhielmini氏は、同種幹細胞移植で再発MCL患者の3分の1は治癒するが、3分の1は移植関連死が報告されていると指摘。骨髄破壊的前処置下では移植関連死は19-32%、骨髄非破壊的前処置(RIC)下でも21-32%で発生していると説明した。さらに慢性移植片対宿主疾患(cGvH)も患者の半数で認められるとした。

 また自家移植のほうが同種移植より毒性が低く、自家移植では5年時点で50%以上が寛解を維持しているとした。このため、移植適応のMCL患者に対し初回治療では自家移植を行うべきであり、同種移植は再発時に検討すべきであろうとした。

 一方、支持する立場のCaballero氏は、再発後に同種幹細胞移植を行った患者では行わなかった患者に比べ、予後が良好であること、フルダラビンやメルファラン、リツキシマブなどによるRICを伴う同種幹細胞移植は、PFSやOSに有効であるとした。

 スペイン研究グループGELTAMOでは、フルダラビンとメルファランによるRICと同種末梢血幹細胞移植を行った結果、毒性は軽度で、3年非再発死亡(NRM)は19%。5年PFS率は80%、5年生存率は80%で、60歳以上の患者では43%だが、60歳未満では100%だった(Gayoso et al.,Ther Adv Hematol 2011)。

 これらのことからCaballero氏は、RICを伴う同種移植は、NRMやcGvHによる死亡はあるが、GVL効果があり、PFSやOSを平坦化させ、治癒が期待できるとした。またMCL国際予後指標(MIPI)高値の患者でもASCT後の10年間のフォローアップで、生存率は57%、EFS率が25%と報告されている。このため「全MCL患者にRICを伴う同種移植をすることは賛成しないが、MIPI高値、Ki-67高値などのハイリスク患者には臨床試験として行ってよいだろう」とした。