再発・難治性の多発性骨髄腫患者を対象として、elotuzumab+レナリドミド+低用量デキサメタゾンの併用療法を検討したフェーズ2試験(Study 1703)において、elotuzumabは10mg/kgの用量で奏効率は92%、無増悪生存期間(PFS)は未到達と良好な成績が示された。同試験では忍容性も良好だった。6月14日から17日にかけてアムステルダムで開催された第17回欧州血液学会(EHA2012)で、フランスUniversity Hospital, NantesのPhilippe Moreau氏が発表した。

 elotuzumabは、細胞表面糖タンパク質CS1を標的とするヒト化モノクローナルIgG1抗体製剤。CS1は多発性骨髄腫では腫瘍細胞の95%超に発現するが、NK細胞での発現率は低く、正常組織ではほとんど発現しない。

 elotuzumab+レナリドミド+低用量デキサメタゾンの併用療法を検討したフェーズ1/2試験では、再発・難治性の多発性骨髄腫患者において奏効率は82%と良好な成績が得られた。
 
 そのためMoreau氏らは、再発・難治性の多発性骨髄腫で1つから3つの前治療を受けた患者を対象として、elotuzumabを2つの用量でレナリドミド、低用量デキサメタゾンと併用するフェーズ2試験を実施した。主要評価項目は、国際骨髄腫ワーキンググループ(IMWG)の治療効果判定統一基準に基づく有効性だった。今回は2012年4月27日時点のデータが発表された。
 
 フェーズ2試験では、28日を1サイクルとして、elotuzumab 10mg/kgまたは20mg/kgを1サイクル目と2サイクル目は1、8、15、22日目に、3サイクル目以降は1日目と15日目に静脈内投与した。各サイクルで、レナリドミド25mgを1日目から21日目に、低用量デキサメタゾン40mgを週1回、それぞれ経口投与した。全例に前投薬として、メチルプレドニゾロンまたはデキサメタゾン、ジフェンヒドラミン、ラニチジン、アセトアミノフェンを投与した。治療は進行または受容不能な毒性を認めるまで継続した。
 
 73人が登録され、患者はelotuzumab 10mg/kg群(36人)と20mg/kg群(37人)にランダム化された。年齢中央値は両群とも63歳で、β2ミクログロブリン値が3.5mg/L以上だったのは50%と41%だった。2つ以上の前治療を受けた患者はそれぞれ56%と54%、前治療でボルテゾミブの投与を受けた患者は61%と60%、サリドマイドの投与を受けた患者は58%と65%だった。
 
 フェーズ2試験における治療サイクル数の中央値は、10mg/kg群で19.5、20mg/kg群で16だった。10mg/kg群の18人と20mg/kg群の13人は試験治療を継続中である。
 
 有効性として、奏効率は全対象で84%、10mg/kg群で92%、20mg/kg群で76%だった。各群における完全寛解(CR)はそれぞれ14%と11%、非常に良い部分寛解(VGPR)は47%と35%、部分寛解(PR)は31%と30%だった。

 前治療の数で各群の奏効率をみると、前治療が1つのみの患者では、10mg/kg群100%、20mg/kg群82%、2つ以上の患者ではそれぞれ85%と70%だった。
 
 全対象において奏効が得られるまでの期間の中央値は1カ月、最良奏効までの期間の中央値は2.5カ月だった。

 PFS中央値は、10mg/kg群では未到達(追跡期間17.2カ月)、20mg/kg群では18.6カ月(同15.7カ月)だった。前治療の数でPFSをみると、2つ以上受けた患者では21.3カ月、1つのみの患者では未到達だった。

 ただし、del13q、t(4;14)、t(14;16)、del17pを認めるハイリスクの患者(10人)では、奏効率は80%、PFS中央値は9カ月となった。
 
 治療中に発現したグレード3以上の有害事象で発現頻度が高かったのは、貧血、リンパ球減少、好中球減少、血小板減少などで、10mg/kg群ではそれぞれ11%、25%、14%、17%、20mg/kgではそれぞれ14%、14%、19%、16%に発現した。infusion reactionとして、グレード3の発疹が10mg/kg群の1人(3%)に発現した。全対象中4人に二次発癌がみられ、内訳は、前立腺癌、膀胱癌、骨髄異形成症候群(MDS)、鼻腔の扁平上皮癌だった。

 今回の結果から、フェーズ3試験におけるelotuzumabの推奨量は10mg/kgとされた。現在2件のフェーズ3試験において、治療歴がない多発性骨髄腫患者、再発・難治性の多発性骨髄腫患者を対象として、elotuzumab 10mg/kg+レナリドミド+低用量デキサメタゾンの併用療法の検証が進められている。