再発・難治性の多発性骨髄腫患者において、daratumumabは単剤で良好な安全性プロファイルを示すことが、フェーズ1/2試験(GEN501)で明らかになった。6月14日から17日にかけてアムステルダムで開催された第17回欧州血液学会(EHA2012)で、オランダUniversity Hospital UtrechtのHenk Lokhorst氏が発表した。

 CD38は多発性骨髄腫、さまざまな白血病、非ホジキンリンパ腫に発現する。daratumumabは広域スペクトルの細胞障害活性を持つ抗ヒトCD38モノクローナル抗体で、CD38を発現している腫瘍細胞を、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、補体依存性細胞傷害(CDC)、アポトーシスを経て効果的に殺傷する。

 Lokhorst氏らは、再発・難治性の多発性骨髄腫で前治療を2つ以上のラインで受けた患者を対象として、daratumumabを初めてヒトに投与する(first-in-human:FIH)用量漸増試験を実施した。主要評価項目は安全性プロファイルだった。

 試験は2つのパートで構成された。パート1は非盲検の用量漸増試験で、3+3デザインとした。daratumumabの投与開始時は1回投与量(総量)の10%で前投与を行い、最大10mgまでとした。また総量を初回投与した後は3週間の間隔を設けた。用量は0.005、0.05、0.1、0.5、1、2、4、8、16、24mg/kgとし、週1回静脈内投与、8週間投与した。

 パート2は非盲検の単群試験で、コホートを拡大して16人を対象とし、決定した用量でdaratumumabを週1回、8週間投与した後、1週おきに24週間まで投与した。

 計29人が登録され、各コホートに次のように割り付けられた。1mg/kg以下に17人(年齢中央値63歳)、2mg/kgに3人(同64歳)、4mg/kgに3人(同64歳)、8mg/kgに3人(同60歳)、16mg/kgに3人(同55歳)。前治療の数は中央値でそれぞれ5、8、6、11、7、前治療でレナリドミドの投与を受けたのはそれぞれ15人、3人、3人、3人、2人、サリドマイドの投与を受けたのはそれぞれ12人、3人、1人、2人、2人、ボルテゾミブの投与は全例が受けていた。自家幹細胞移植(ASCT)はそれぞれ11人、3人、2人、3人、3人が受けていた。

 全コホートにおいて、投与に関連する有害事象で発現頻度が高かったのは、発熱(31%)、咳嗽(21%)、低血圧/高血圧(7%/14%)、嘔気(14%)などだった。臨床検査値の異常では、単球減少(21%)、リンパ球減少(21%)、遊離ヘモグロビン(17%)、貧血(17%)などが多く、その他に下痢(10%)や肺炎(7%)、嘔吐(7%)がみられた。

 重篤な有害事象(SAE)は5件発生し、このうち用量制限毒性(DLT)は2件だった。DLTとして、0.1mg/kgのコホート1人にグレード3の貧血、1mg/kgのコホート1人にグレード3のAST値の異常が発生した。試験薬の前投与や希釈に直接関連する重篤な投与に関する有害事象はみられなかった。この結果から、0.1mg/kgと1mg/kgのコホートに各3人が追加された。

 登録された29人中、18人が16mg/kgまでの用量で8週間の投与を受け、パラプロテインの顕著な減少がみられた。部分寛解(PR)は5人、最小寛解(MR)は4人、安定状態(SD)が9人に認められた。特に4mg/kg以上のコホートの9人において、血清と尿のM蛋白、ならびに骨髄における形質細胞の減少率が高かった。4mg/kgの用量で投与した9人中、PRは4人、MRは2人で得られた。

 薬物動態の検討では、血中濃度は高用量で予測値に近くなり、4mg/kg以上の用量におけるトラフ値は10μg/mLを超える値で維持された。一方、低用量では急速なクリアランスが観察された。

 この試験では最大耐用量(MTD)にまだ達しておらず、用量漸増は継続中である。長期の安全性と有効性を評価する24週の試験が続いて行われる予定だ。

 daratumumabについては今後の検討として、レナリドミドと低用量のデキサメタゾンとの併用(GEN503試験)、ボルテゾミブと低用量のデキサメタゾンとの併用(GEN504試験)が計画されている。