強い前治療を受け、ボルテゾミブに抵抗性となった多発性骨髄腫患者に対し、panobinostat+ボルテゾミブ+デキサメタゾンの併用療法は重要な治療選択肢となり、忍容性も良好であることが、フェーズ2のPANORAMA 2試験で示された。6月14日から17日にかけてアムステルダムで開催されている第17回欧州血液学会(EHA2012)で、米Dana-Farber Cancer InstituteのPaul G. Richardson氏が発表した。

 多発性骨髄腫の治療では、ボルテゾミブ、レナリドミド、サリドマイドが主に使用されるが、これらの薬剤に抵抗性となった多発性骨髄腫患者の予後は不良である。

 ヒストン脱アセチル酵素阻害剤のpanobinostatは、フェーズ1b試験において、ボルテゾミブとの併用により、ボルテゾミブに抵抗性となった多発性骨髄腫患者にも有効であることが認められている。

 PANORAMA 2試験は、再発しボルテゾミブに抵抗性となった多発性骨髄腫患者を対象として、panobinostatをボルテゾミブ、デキサメタゾンと併用する、単群、非盲検、多施設共同のフェーズ2試験。主要評価項目はmodified EBMT(欧州血液骨髄移植グループ)基準による寛解率だった。

 試験は2段階で構成された。治療フェーズ1では、全例にpanobinostat(20mg、経口投与)+ボルテゾミブ(1.3mg/m2、静脈内投与)+デキサメタゾン(20mg、経口投与)を投与した。21日を1サイクルとして、panobinostatは1、3、5、8、10、12日目、ボルテゾミブは1、4、8、11日目に投与し、デキサメタゾンはボルテゾミブの投与日とその翌日に投与した。最大8サイクルまでとし、進行や再発などで中止となるまで継続した。

 治療フェーズ1で進行や再発を認めず、臨床的な有用性が得られた患者は、治療フェーズ2で治療を継続した。治療フェーズ2は42日を1サイクルとして、panobinostatは1、3、5、8、10、12、22、24、26、29、31、33日目、ボルテゾミブは1、8、22、29日目に投与し、デキサメタゾンはボルテゾミブの投与日とその翌日に投与した。

 2012年2月20日をカットオフ日とし、ボルテゾミブに抵抗性となった多発性骨髄腫患者55人(年齢中央値61歳、男性29人)が登録された。前治療のレジメン数の中央値は4で、35人(64%)が自家幹細胞移植(ASCT)を受けていた。前治療において、ボルテゾミブを含む最後のレジメンで治療中に進行したのは36人(65%)で、このうち29人(53%)はデキサメタゾンの投与も受けていた。ボルテゾミブを含む最後のレジメンによる治療後、60日以内に進行したのは19人(35%)だった。

 2012年2月20日の時点で、6人(11%)が試験治療を継続中、30人(55%)が追跡中である。18人が治療フェーズ1を終了し、治療フェーズ2に組み入れられた。治療フェーズ2では6人が試験治療を継続中で、5人が12サイクル以上の治療を終了した。

 その結果、寛解は17人(31%)で得られ、1人(2%)がほぼ完全寛解(nCR)、16人(29%)が部分寛解(PR)だった。最小寛解(MR)が得られた11人(20%)を合わせた臨床的有効率は51%だった。非常に良い部分寛解(VGPR)は3人(5%)に認められた。寛解の多くは1から2サイクル施行後に観察された。

 最も発現頻度が高かったグレード3以上の有害事象は血小板減少(62%)で、減量などで管理可能だった。血小板減少で治療を中止した患者はいなかったが、投与の遅延は35%でみられた。末梢神経障害の発現は全グレードでは31%だったが、グレード3以上は2%のみだった。疲労感と無力症は全グレードでは73%と20%に発現したが、多くは軽度であり、水分補給と減量などで管理した。QTc延長は報告されていない。
 
 Richardson氏は「panobinostatをボルテゾミブと併用することで、強い前治療を受け、ボルテゾミブに抵抗性となった多発性骨髄腫患者において、再度の寛解を得ることができる」と結論した。
 
 今後、フェーズ3のPANORAMA1試験では、多発性骨髄腫患者の治療におけるpanobinostat+ボルテゾミブ+デキサメタゾンの併用療法の役割が検討される予定である。panobinostatについてはその他にも、ボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン、pomalidomide、carfilzomib、サリドマイドとの併用が検討されている。