ハイリスクのくすぶり型多発性骨髄腫(SMM)患者に対するレナリドミドとデキサメタゾンによる導入療法とレナリドミドによる維持療法は、症候性骨髄腫となるまでの無増悪期間(TTP)を有意に延長し、全生存率(OS)にも有用性をもたらすことがフェーズ3試験から示された。同試験では忍容性も良好だった。6月14日から17日にかけてアムステルダムで開催されている第17回欧州血液学会(EHA2012)で、スペインのSpanish Myeloma Group、University Hospital of SalamancaのMaria Victoria Mateos氏が発表した。

 SMMは、血清M蛋白が30g/L以上、骨髄細胞で形質細胞が占める割合が10%以上、またはその両方を伴う場合とされる。CRAB(高カルシウム血症、貧血、骨病変、腎障害)や症状は伴わない。

 Mateos氏らがスペインで行ったQUIREDEX試験では、ハイリスクのSMMの基準は、「骨髄細胞で形質細胞が占める割合が10%以上、かつ血清M蛋白が30g/L以上」、または「骨髄細胞で形質細胞が占める割合が10%以上、または血清M蛋白が30g/L以上であるが、免疫表現型検査で異常な形質細胞が95%を超えて存在し、免疫不全がある」とされた。

 今回Mateos氏らは、ハイリスクのSMM患者を対象とする国際的なフェーズ3試験において、早期の治療により症候性骨髄腫となるまでの無増悪期間(TTP)を延長することができるかを評価した。

 患者は、レナリドミドとデキサメタゾンによる導入療法を行い、その後維持療法としてレナリドミド単剤を投与する群(レナリドミド群)と、無治療の群(観察群)にランダム化された。導入療法では4週を1サイクルとして、レナリドミド25mgを1日目から21日目まで毎日、デキサメタゾン20mgを1日目から4日目、12日目から15日目まで計160mg投与した。導入療法を9サイクル施行後、維持療法として毎月1日目から21日目までレナリドミド10mgを投与し、進行まで繰り返した。

 その結果、118人が評価可能で、レナリドミド群57人(平均年齢61歳)、観察群61人(同65歳)となった。レナリドミド群と観察群において、骨髄細胞に占める形質細胞の割合の平均は20%と21%、血清M蛋白の平均は32g/Lと30g/Lで、その他の患者背景も両群で同様だった。

 ITT解析対象の57人における治療サイクル数の中央値は9だった。国際骨髄腫ワーキンググループ(IMWG)の治療効果判定統一基準による導入療法の奏効率は81%となり、このうち厳密完全寛解(sCR)は7%、完全寛解(CR)は7%、非常に良い部分寛解(VGPR)は11%、部分寛解(PR)は56%だった。安定状態(SD)は19%だった。

 評価可能だった118人の追跡期間の中央値は22カ月で、TTP中央値は、レナリドミド群で未到達、観察群で25カ月だった。ハザード比は6.2(95%信頼区間:2.6-15)となった(p<0.0001)。レナリドミド群では6人(10%)、対照群では28人(46%)が進行した。

 また維持療法の最終の追跡時に生物学的進行を認めた患者では、低用量のデキサメタゾンを追加することで病勢コントロールが可能だった。
 
 試験組み入れからの3年OSは、レナリドミド群98%、観察群82%となった(p=0.05)。診断時からの5年OSはそれぞれ98%と87%で、ハザード比は6.7(95%信頼区間:0.7-57)となった(p=0.03)。
 
 導入療法では、グレード4の有害事象は感染症が1人のみに発現した。グレード3の有害事象で多くみられたのは、無力症(7%)、感染症(6%)、好中球減少(5%)などだった。維持療法では、グレード1、2の感染症(それぞれ21%と11%)、グレード2の好中球減少(9%)などが発現したが、観察群でもグレード1または2の感染症が発現した(19%)。