新規に診断された高齢者の多発性骨髄腫(MM)に対する導入療法として、メルファラン(M)とプレドニゾン(P)をベースとする各種の併用レジメンを用いた場合の完全寛解(CR)の達成の可否は、どのレジメンでも無増悪生存期間(PFS)や全生存期間(OS)とよく相関する予後因子であることが分かった。試験を統括したItalian Multiple Myeloma Network(GIMEMA)を代表して、イタリアA.O.U. San Giovanni BattistaのF. Gay氏が、6月10日から13日までスペイン・バロセロナで開催された欧州血液学会で発表した。

 若年のMM患者では、自己末梢血幹細胞移植(ASCT)によって得られる寛解の程度が全生存期間(OS)とよく相関することが知られており、CRが達成された患者ほどOSが長い。高齢のMM患者では、従来のMP併用療法のCR達成率が低いためにこの種の検討はあまり行われてこなかったが、MPをベースにサリドマイド(T)、ボルテゾミブ(V)またはレナリドミド(R)を追加する新たな併用レジメンの登場でCRが得られる患者が増えている。

 このため、研究グループは、高齢MM患者に対してMPベースの併用レジメンを用いて得られる寛解の程度と、生存期間の関連について検討した。

 試験の対象は、GIMEMAが実施したMPベースの併用レジメンに関する3件の臨床試験(GISMM-2001、RV-MM-PI-026、MM0305)に登録された65歳以上の新規診断MM患者895人。併用レジメンの内訳は、MP群164人、MP+サリドマイド(MPT)群167人、MP+レナリドミド(MPR)群53人、MP+ボルテゾミブ(VMP)群257人、MP+ボルテゾミブ+サリドマイド(VMPT-VT)群254人で、このうちBest Responseが評価可能だった847人を解析対象とした。観察期間の中央値は51カ月だった。

 治療の結果、CRが得られたのは195人で、大変良い部分寛解(VGPR)が171人、部分寛解(PR)が297人だった。各群のCR達成率は、MP群が3%、MPT・MPR群が17%、VMP群が31%、VMPT-VT群が49%だった。

 PFSを、全群をまとめたCR達成例とVGPR達成例の間で比較すると、ハザード比6.91(95%信頼区間;4.19-11.41、p<0.001)でCR例の方が有意にリスクが低かった。CR達成例とPR達成例の比較では、ハザード比16.94(95%信頼区;8.70-32.97、p<0.001)でその差がさらに大きかった。4年時の無増悪生存率はCR達成例が62%で、VGPR達成例の28%、PR達成例の28%よりも有意に高かった(p<0.001)。

 OSに関するCR達成例とVGPR達成例の比較でも、ハザード比5.03(95%信頼区;2.45-10.32、p<0.001)でCR達成例の方が有意にリスクが低かった。CR達成例とPR達成例との比較ではハザード比は9.40(95%信頼区;4.22-20.91、p<0.001)だった。4年時の全生存率は、CR達成例の79%に対してVGPR達成例は52%、PR達成例は54%だった(p<0.001)。

 さらに、CR達成によるベネフィットを年齢(75歳以上、75未満)、ISSステージ(ステージI、II、III)、併用レジメン別にみたサブグループ解析では、どのサブグループでも、PFS、OSともにCR達成による有意なベネフィットが認められた。

 以上の結果からGay氏は、「CRの達成はMM患者の年齢やISSステージ、治療レジメンの種類によらずPFSおよびOSの長さと相関する予後因子である」と結論した。患者の治療管理の改善に今後つなげていくためには、厳密な完全寛解(sCR)、免疫表現型、微小残存病変(MRD)といったCRのさらに厳格な定義が必要になるだろうとも述べた。