転移性腎細胞癌患者における治療前のFDG PET/CTによるSUVmax値の評価は予後予測に有効である可能性が示された。10月1日までアムステルダムで開催されたEuropean Cancer Congress2013(ECC2013)で、横浜市立大学泌尿器病態学の中井川昇氏が発表した。

 中井川氏らは、FDGを用いたPET/CTにおける放射性薬剤の腫瘍に対する集積の強さを表すSUVを用いて、転移性腎細胞癌に対する分子標的薬治療による奏効を評価可能かどうか検討した。分子標的薬の機序は従来の殺細胞性抗癌剤と異なり、細胞の増殖を抑制する効果が主であり、そのため腫瘍の増殖能を評価することが重要になると考えたためだ。

 TKI治療を受けた32例(ソラフェニブ18例、スニチニブ14例)について検討した結果、治療後にSUVmax値が増加したのは9例で、そのPFS中央値は110日だったのに対し、SUVmax値が減少した23例ではPFS中央値は211日と有意に良好だった。

 さらにSUVmax値が減少した23例のうち、20例について治療および追跡を継続したところ、19例でSUVmax値が増加した。14例ではSUVmaxが最低値から増加に転じ、11例はRECIST評価による病勢進行(PD)が認められる前に増加していた。このSUVmax値の増加とPD判定の時間差は0〜98日(中央値63日)だった。PD時点でのSUVmax値はTKI治療前と比べて高くなっていた。これらの結果から、病勢が進行中もしくは進行する前にSUVmax値が増加すると判断され、また糖代謝の亢進はTKI治療に対する抵抗性獲得の機序の一因と考えられた。

 この結果を受け、同グループは、転移性腎細胞癌患者76例を対象に、前向きに、SUVmax値と予後との関係を検討した。

 対象者76例の患者背景は、年齢中央値66歳、男性比率が約8割、淡明細胞癌が8割だった。腎摘除術を受けていたのは59例で、全身療法の前治療を受けていたのは17例、内訳はインターフェロン-α(IFN-α)10例、ソラフェニブ2例、ソラフェニブ+IFN-α2例、スニチニブ1例、化学療法2例だった。観察期間中央値は20.4カ月(範囲0.7-52.9)だった。

 登録時にFDG PET/CTを行い、その後に分子標的薬などによる治療を行った。治療の内訳は、1レジメンが31例(スニチニブ14例、ソラフェニブ11例、IFN-α4例、テムシロリムス1例、転移巣切除術1例)。2レジメンが13例(TKIとmTOR阻害薬7例、TKIとTKIが2例、転移巣切除術とTKIが2例)、3レジメンが17例、4レジメン以上が15例だった。

 追跡の結果、登録時SUVmax値が7未満だったグループ(39例)のOS中央値は40.3カ月で、SUVmax値が7以上12未満のグループ(26例)では20.6カ月、SUVmax値が12以上だったグループ(11例)では4.2カ月となり、有意な差が認められた。

 多変量解析を行った結果、SUVmax値はハザード比1.193(p<0.001)で有意な因子として見出された。

 これらの結果から中井川氏は、転移性腎細胞癌患者において、FDG PET/CTによるSUVmax値の評価は予後予測因子であり、患者の治療戦略を考える上で有効な画像バイオマーカーになる可能性があると締めくくった。