局所進行または転移を有する乳癌に対するエリブリンとカぺシタビンの有効性を比較したフェーズ3試験(301試験)の事後解析から、既存病変の増大による進行を認めた患者よりも、新たな病変/転移による進行を認めた患者の予後が不良であることが示された。新たな病変/転移による進行を認めた患者では、カぺシタビンと比べてエリブリンで有意に全生存期間(OS)が改善した。9月27日から10月1日までアムステルダムで開催されたEuropean Cancer Congress 2013(ECC2013)で、米国Mayo ClinicのEdith A Perez氏が発表した。

 301試験では、アントラサイクリンとタキサンによる治療を3レジメン以下で受けた局所進行または転移を有する乳癌患者を、21日を1サイクルとして、エリブリン1.4mg/m2を1日目と8日目に投与する群(エリブリン群)、またはカぺシタビン1.25g/m2を1-14日目まで投与する群(カぺシタビン群)に1:1でランダムに割り付けた。エリブリン群554人、カぺシタビン群548人となった。

 主要評価項目の1つであるOSは、カぺシタビン群と比べてエリブリン群で改善する傾向が示されたが(ハザード比0.88[95%信頼区間:0.77-1.00]、p=0.056)、もう1つの主要評価項目であるPFSではそうした傾向はみられなかった(ハザード比1.08[同:0.93-1.25]、p=0.30)。

 Perez氏らは、301試験におけるOSとPFSの不一致を検討するため、事後解析を行い、OSと進行を定義するさまざまな事象との関連を評価した。進行を定義する事象は、新たな病変/転移の発現、既存病変の増大、その他の事象(死亡、臨床的な進行、中止)とした。

 新たな病変/転移による進行は、エリブリン群271人(48.9%)、カぺシタビン群285人(52.0%)だった。既存病変の増大による進行はそれぞれ147人(26.5%)と129人(23.5%)だった。

 エリブリン群、カぺシタビン群ともに、既存病変の増大による進行を認めた患者と比べて、新たな病変/転移による進行を認めた患者のOSは短かった。

 既存病変の増大による進行を認めた患者のOS中央値は、エリブリン群、カぺシタビン群でともに17.4カ月だった(ハザード比1.13[95%信頼区間:0.87-1.46]、p=0.35)。新たな病変/転移による進行を認めた患者のOS中央値は、エリブリン群15.5カ月、カぺシタビン群12.9カ月となり、エリブリン群で2.6カ月延長した(ハザード比0.81[95%信頼区間:0.68-0.97]、p=0.02)。

 新たな病変/転移による進行を認めた患者では死亡のリスクが高かった(ハザード比2.1[95%信頼区間:1.84-2.43]、p<0.0001)。

 新たな転移を認めない生存期間(new metastasis-free survival)の中央値は、エリブリン群5.8カ月、カぺシタビン群5.2カ月だった(ハザード比0.90[95%信頼区間:0.77-1.05])。中枢神経系(CNS)や肺への新たな転移は、カぺシタビン群と比べてエリブリン群で少なかったのに対し、リンパ節への新たな転移はエリブリン群で多かった。CNSや肺、肝への転移が発現するまでの期間は、エリブリン群で良好な傾向がみられた。

 今回の結果から、Perez氏は「従来のPFSの定義が適切とは言えない可能性が示唆された。301試験で観察されたOSの改善は、既存病変の増大による進行を認めた患者よりも、新たな病変/転移による進行を認めた患者による可能性がある。この仮定は、EMBRACE試験の既存のデータおよび前向き試験で検証中である」と話した。