閉経後の女性にホルモン補充療法(HRT)としてエストロゲンを単独で用いると子宮内膜癌(子宮体癌)のリスクが上昇する。WHI(Women’s Health Initiative)無作為化試験において、抱合エストロゲン(CEE)+酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)に割り付けられた患者と偽薬に割り付けられた患者をHRT中止以降も延長追跡し、内膜癌リスクを比較したところ、併用群には有意なリスク低下が見られた。米Harbor-UCLA Medical CenterのRowan T. Chlebowski氏がECC2013で9月30日に報告した。

 プロゲスチン(人工プロゲステロン)をエストロゲンに加えたレジメンは、子宮内膜癌リスクの上昇を回避するために一般に用いられているが、プロゲスチン追加の影響の程度や、内膜癌による死亡にも影響が及ぶのかどうかは不明だった。これらの問題に対する答えを得るために、研究者たちは、WHIの延長追跡を行い、CEE+MPAが内膜癌の罹患率と死亡率に与える長期的な影響を評価した。

 WHIのうち、CEE+MPAと偽薬を比較する二重盲検試験は、米国の40施設で、50-79歳で子宮を持ち、ベースラインで行われた子宮内膜の生検により組織学的に正常であることが確認されていた閉経女性1万6608人を登録、無作為にCEE(0.625mg)+MPA(2.5mg)を1日1回(8506人)または偽薬(8102人)に割り付けていた。介入は1993年11月15日から2002年7月2日まで行われ、追跡は2005年3月31日に終了することになっていたが、Chlebowski氏らは、生存していた登録者に再度同意を求めて、1万2788人(83%)を2010年9月30日まで追跡した。

 内膜癌罹患と内膜癌による死亡のリスクを、無作為割り付けを受けたすべての患者を対象にintention-to-treat分析した。

 中央値5.6年の介入終了から8.2年の追跡が行われ、介入開始からの追跡期間は13.2年になった。その間に、併用群の66人、偽薬群では95人が子宮内膜癌と診断された。1年あたりの罹患率は0.06%と0.10%で、ハザード比は0.65(95%信頼区間:0.48-0.89、p=0.007)となった。偽薬群に比べ併用群のほうが、低分化型/未分化型の腫瘍が有意に少なく(ハザード比は0.51、95%信頼区間:0.30-0.86)、隣接組織/遠隔臓器への転移も少なかった(0.43、0.22-0.84)。

 介入期間中の内膜癌罹患者は偽薬群より幾分少ない傾向を示し(25人と30人、ハザード比は0.77、95%信頼区間:0.45-1.31)、介入終了後の罹患者数には有意差が見られた(41人と65人、0.59、95%信頼区間:0.31-0.83)。

 サブグループ解析では、併用の影響はさまざまな集団に一貫して認められた。

 内膜癌による死亡は5人と11人で、ハザード比は0.42(95%信頼区間:0.15-1.22、p=0.10)となり、有意では無いが介入群のほうが低い傾向が見られた。

 介入期間中の子宮内膜からの出血は併用群の51%に見られた。偽薬群は5%で顕著な差が見られた(p<0.001)。子宮内膜生検を受けた患者の割合も33%と6%と有意差を示した(p<0.001)。が、延長追跡終了までに子宮摘出術をうけた患者は510人と450人で、その割合に差は無く、子宮摘出の主な理由は子宮脱(子宮摘出術を受けた併用群の患者の46.3%、偽薬群の46.7%)、癌(21.2%と26.9%)などだった。

 今回CEE+MPA併用群では内膜癌リスクが有意に下がることが示されたが、この集団の乳癌リスクは有意に上昇(ハザード比1.28、95%信頼区間:1.11-1.48)していた。CEEを単剤で用いた場合には、子宮内膜癌のリスクは有意に上昇するが、乳癌リスクは有意に低下することを示すデータが得られている。

 閉経後にCEE+MPAの使用を継続すると子宮内膜癌の罹患率が下がることを示した無作為化試験はこれが初めてだ。しかし、リスクと利益のバランスを考えると、慢性疾患予防を目的としてこのレジメンを使用すべきではない。癌予防という観点から見ても、子宮内膜癌と乳癌の両方を減らせる介入法が必要だ、とChlebowski氏は述べた。