アンドロゲン除去療法(ADT)で進行した日本人去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)患者に対するenzalutamide投与は、忍容性が高く、有効で安全である可能性が示唆された。日本人を対象にした初の多施設共同フェーズ1/2試験によるもので、10月1日までアムステルダムで開催されたEuropean Cancer Congress 2013(ECC2013)で、東京大学先端科学技術研究センターの赤座英之氏が発表した。

 今回発表したフェーズ1、2試験は、国内でenzalutamideの承認申請を行った際の基となったデータの1つ。海外フェーズ3のAFFIRM試験とともに、前立腺癌の効能・効果で申請している。

 enzalutamideの国際多施設共同フェーズ3試験AFFIRMでは、ドセタキセルベースの化学療法で増悪したCRPCを対象にしており、全生存期間(OS)中央値は18.4カ月で、プラセボ群の13.6カ月よりも有意に延長したことが報告されている(ハザード比0.63、95%信頼区間:0.53-0.75)。

 今回赤座氏が報告したのは、ADTを受けて進行してしまった日本人CRPCを対象にしたフェーズ1/2試験で、enzalutamide投与の安全性、忍容性、薬物動態、有効性について検討したもの。オープンラベルの用量漸増フェーズ1試験と用量拡大フェーズ2試験からなり、2010年11月から実施している。

 対象は、PS 0または1、ドセタキセルを含む前治療レジメン数が2以下、CABによるアンドロゲン除去療法で病勢進行した症例。フェーズ1試験では80mg、160mg、240mgをそれぞれ3人ずつ合計9人に投与した。フェーズ2試験では38人の患者に160mgを投与した。

 主要評価項目は、投与85日目の最良総合効果、副次評価項目はPSA奏効率(PSA値が50%以上減少した患者の割合)、PSA値の変化。安全性の評価は、有害事象、バイタルサイン、体重など。

 フェーズ1/2試験ともに患者背景には差はなかった。フェーズ1試験における平均年齢は73.3歳、フェーズ2試験が70.3歳、ECOG PS 0がそれぞれ88.9%、65.8%、診断時のグリソン・スコアが8〜10の患者は100%、76.3%、診断時にT3だった患者は66.7%、42.1%、N1は44.4%、57.9%、M1が66.7%、50.0%。骨転移数が10個以上は44.4.%、42.1%、診断時に転移性だった患者は66.7%、50.0%、平均PSA値は634.82ng/mL、174.94ng/mL、スクリーニング時の平均罹病期間は47.36カ月、63.11カ月。

 フェーズ2試験患者の前治療状況を見ると、放射線治療は50%、5剤によるホルモン療法施行者は34.2%、6剤は28.9%、7剤以上が15.8%。全例でビカルタミドを使用しており、フルタミドは76.3%、エストラムスチンは78.9%だった。前治療の化学療法レジメン数が2だった患者は78.9%だった。

 試験中止に至ったのはフェーズ1試験で5人、フェーズ2試験で28人で、その理由はおよそ半数が病勢進行によるものだった。

 フェーズ2試験における投与85日時点の最良総合効果は、部分奏効(PR)が5.3%、病勢安定が42.1%だった。奏効率は5.3%で、病勢コントロール率は47.4%(18例)だった。腫瘍径が30%以上縮小した患者割合は18.4%だった。

 フェーズ2試験において、ベースラインからPSA値が30%以上減少した患者の割合は39.5%、50%以上は28.9%、90%以上は10.5%だった。

 フェーズ1、2試験を合わせた主な有害事象は、体重減少(36.2%)、食欲減退(27.7%)、便秘(25.5%)だった。薬剤関連有害事象の発現率は66.0%で、高血圧、便秘(それぞれ14.9%)、食欲減退、疲労感(それぞれ12.8%)など。

 2イベント以上の重篤な有害事象を発現した患者は34.2%で、癌性疼痛が3人などだった。薬物動態プロファイルはこれまでに海外臨床試験で報告されたものと同様の傾向を示した。

 これらの結果から赤座氏は、「日本人のドセタキセル治療後のCRPCに対する1日160mgのenzalutamide経口投与は、有効で、安全で忍容性が高い可能性が示唆された」と語った。