実地診療においてスニチニブ治療を受けた転移性腎細胞癌で長期に効果が得られている患者の解析から、予後予測因子としてHengリスク分類、効果予測因子として高血圧と甲状腺機能低下が見い出された。10月1日までアムステルダムで開催されたEuropean Cancer Congress2013(ECC2013)で、スペインHospital Clinico Universitario San CarlosのJavier Puente氏が発表した。

 同グループは、転移性腎細胞癌に対するスニチニブ投与の効果や予後を予測する因子を同定するため、スニチニブ治療で長期に効果が得られている患者グループと治療で効果が得られない患者グループを対象に後ろ向きに検討を行った。

 スペインの15施設から、実地診療においてスニチニブ治療を受けている患者のうち、無増悪生存期間(PFS)が22カ月以上得られた患者と、治療開始後の最初の画像評価で病勢が進行していた患者110例が検討の対象となった。110例のうち、長期に効果が得られた患者群(LR群)は87例、病勢進行していた患者群(Primary refractory:PR群)は23例だった。

 患者背景は、LR群が男性比率69%、PR群が56.5%。全体では88.3%が淡明細胞癌だったが、PR群では他の組織型が13%とLR群の3.4%に比べて多かった。

 全対象者のうち、11%が前治療としてサイトカイン療法を受けており、89%はスニチニブがファーストライン治療だった。

 ECOG PSが0、1だったのが、LR群はそれぞれ52%、45.3%、PR群が22.2%、55.6%と差が認められた。腎摘除術施行例はLR群98.8%だったのに対し、PR群は82.6%。初診時の年齢中央値はLR群55.07歳、PR群62.15歳。転移出現までの期間中央値はLR群41.13カ月、PR群22.77カ月だった。診断時に転移が認められた症例はLR群28.4%に対し、PR群は60.9%。Fuhmanグレード 1、2、3、4はLR群でそれぞれ11.7%、30%、45%、13.3%に対し、PR群は0%、20%、26.7%、53.3%だった。

 Hengリスク分類では、Favorable、Intermediate、PoorリスクがLR群ではそれぞれ26.2%、69%、4.8%だったのに対し、PR群では5%、80%、15%だった。

 スニチニブの開始投与量と用法が50mg/日の4週投与2週休薬だったのは、LR群で95%、PR群で82%。減量を行ったのはLR群で82%、PR群で36.4%と、LR群で有意に多かった。

 LR群におけるグレード3/4の有害事象は、高血圧(16.1%)、甲状腺機能低下(1.1%)、手足皮膚反応(12.6%)、無力症(23.0%)、粘膜炎(5.7%)、血小板減少(16.1%)、好中球減少(17.2%)だった。

 効果については、LR群において、完全奏効(CR)が得られたグループ(17例)の治療開始から最良効果が得られるまでの期間中央値は9.83カ月、部分奏効(PR)が得られたグループ(49例)では4.23カ月、奏効の期間中央値はCRグループが23.10カ月、PRグループが26.83カ月だった。

 解析時点でLR群87例のうち43例が進行していた。PFS中央値は42.40カ月(95%信頼区間:36.65-48.15)で、OS中央値は55.70カ月(同:48.84-62.50)だった。

 スニチニブに起因すると考えられる有害事象とPFSの相関を検討した結果、高血圧が認められたグループ(50例)のPFS中央値は52.37カ月、認められなかったグループ(37例)は35.60カ月で、高血圧が認められたグループが有意に良好だった。

 また、甲状腺機能低下症が認められたグループ(50例)のPFS中央値は52.37カ月、認められなかったグループ(37例)は37.60カ月で、同様に甲状腺機能低下症が認められたグループで有意に良好だった。

 110例のうち48例について分子マーカーの検討が行われた結果、Jugged-1、Hes-1、GLI-1、SFUなどが奏効に相関していた。

 これらの結果からPuente氏は、Hengリスク分類は予後予測因子、高血圧と甲状腺機能低下は効果予測因子と考えられると指摘した。また、Jagged-1、SFUはスニチニブ治療を受けても予後不良な患者もしくは病勢が急速な患者の同定に有効な可能性があると語った。