未治療の転移性腎細胞癌に対するアキシチニブ投与の効果は、開始用量の5mg1日2回投与では十分でない患者層があることが示された。前向きランダム化フェーズ2試験から示されたもので、10月1日までアムステルダムで開催されたEuropean Cancer Congress2013(ECC2013)で、ドイツHannover Medical SchoolのV. Grunwald氏が発表した。

 アキシチニブの開発早期の試験において、同薬の血中濃度が高いほど効果が高まる可能性が示唆されていた。未治療の転移性腎細胞癌患者を対象にアキシチニブを用量漸増していく前向きランダム化フェーズ2試験を行い、AUCで測定した血中濃度別の奏効率、無増悪生存期間について検討した。

 対象は未治療の転移性腎細胞癌患者で、導入療法としてアキシチニブ5mg(1日2回)を投与し、血圧が150/90mmHg以下で、服薬している降圧薬が2剤以下、グレード3/4の薬剤関連有害事象が認められず、減量を必要としなかった患者を2群にランダム化割り付けした。A群としてアキシチニブ5mg(1日2回投与)+アキシチニブ漸増を行う群と、B群としてアキシチニブ5mg(1日2回投与)+プラセボ投与を行う群とした。

 なお、導入療法の結果、条件に適合しない患者はランダム化せず、用量調整なしでアキシチニブ5mg(1日2回)投与(減量は可)に割り付けた(C群)。

 追跡の結果、奏効率は、A群(56例)で54%、B群(56例)で34%、C群(91例)で59%となり、B群に比べてA群は有意に奏効率が高かった(p=0.019)。

 PFS中央値は、A群14.5カ月(95%信頼区間:9.2-24.5)、B群15.7カ月(同:8.3-19.4)、C群16.6カ月(同:11.2-22.5)で、B群に対するA群のハザード比は0.85(95%信頼区間:0.54-1.35、p=0.244)で、有意ではなかったがA群で良好な傾向があるとした。

 導入療法後のランダム化の条件を満たしたA群、B群の導入療法時におけるAUCはそれぞれ241ng・h/mL、207ng・h/mLで、ランダム化されなかったC群のAUC 368ng・h/mLと比べて低値だった。

 ランダム化後の試験期間中の平均AUCは、A群で291ng・h/mL、B群は200ng・h/mLで、A群では用量調整が行われたことによりAUC値は上昇した。一方、B群は用量調整が行われなかったためAUCは導入療法時と変わらなかった。C群は試験期間中の平均AUCは310ng・h/mLで、用量漸増はせず減量は可としたことから導入療法時に比べて低下した。

 A群において5mgから7mgへと増量したときの薬物動態の検討から、最高血中濃度は5mg投与時の28.6ng/mLから7mg投与時は31.7ng/mLへと上昇した。

 試験期間中のAUCと奏効との相関を検討した結果、A群では完全奏効(CR)+部分奏効(PR)が20例、病勢安定(SD)が10例、病勢進行(PD)が11例だったが、CR+PRが得られた患者グループはSDやPDだったグループと比較してAUCが高かった。B群ではAUCと奏効の間には相関は認められなかった。

 PFSと試験期間中のAUCとの間には強い相関は認められなかった。AUC 200ng・h/mLを閾値として対象者全員を2群に分けてPFSを比較した結果、200ng・h/mL以上グループのPFS中央値は13.9カ月、200ng・h/mL未満グループは11.5カ月、ハザード比0.83(95%信頼区間:0.55-1.24、p=0.355)で、有意な差は認められなかった。300ng・h/mL、500ng・h/mL、中央値(261ng・h/mL)を閾値とした場合でもいずれも有意な差は認められなかった。

 対象者のAUC値を4分位してPFSを検討した結果、191〜260ng・h/mLだったグループでPFS中央値が19.4カ月と、他の四分位グループが13カ月強であったのに比べて良好な傾向にあったが、統計学的には有意ではなかった。

 これらの結果から、アキシチニブの開始用量である5mg(1日2回)では血中濃度が十分に高まらない患者層がいること、ランダム化の条件を満たさなかった患者層は最も良好な奏効率、PFSが得られたこと、アキシチニブの薬物動態のみが臨床効果に影響する因子ではなく、薬力学的あるいは患者側因子が関わる可能性があるとまとめた。