高リスク局所進行直腸癌に対するセツキシマブの効果は、癌抑制遺伝子であるTP53のステータスで予測できることが、欧州で行われた多施設共同無作為化フェーズ2試験EXPERT-Cのレトロスペクティブな解析で明らかになった。英国The Royal Marsden HospitalのFrancesco Sclafani氏らが、9月27日から10月1日までアムステルダムで開催されたEuropean Cancer Congress 2013(ECC2013)で発表した。

 EXPERT-C試験は、高リスク直腸癌患者に対し、直腸間膜全切除(TME)の術前補助療法として、カペシタビンとオキサリプラチンによるCAPOX(XELOX)療法とCAPOX療法+セツキシマブ併用を比較した。

 治療は、術前補助療法として、CAPOX療法もしくはCAPOX療法+セツキシマブを4サイクル行い、その後、カペシタビンもしくはカペシタビン+セツキシマブによる化学放射線療法を実施。TMEを施行した後、術後補助療法としてCAPOX療法もしくはCAPOX療法+セツキシマブを4サイクル行った。

 対象は、骨盤MRIで、直腸固有筋膜1mm以内の腫瘍、または直腸周囲脂肪組織に5mm以上広がる腫瘍、またはT4腫瘍、または壁外静脈浸潤、または肛門挙筋部位もしくは下部のT3腫瘍を有する高リスク患者とした。

 試験の結果、主要評価項目であるKRAS/BRAF野生型患者におけるCR率は2群間で有意差は認められなかった 。またKRAS/BRAF野生型患者でのPFS、OSもセツキシマブ投与で有意な改善は見られなかった。

 今回の解析では、患者164人のうち十分な検体が得られた144人を対象とした。生検検体のみが47人、手術検体のみが42人、両方の検体が得られたのは55人だった。TP53遺伝子変異(エクソン4-9)は、キャピラリー電気泳動1本鎖高次構造解析で調べた。その結果、52.1%でTP53遺伝子変異が検出された。

 フォローアップ期間中央値65カ月において、PFSは、TP53変異型患者では2群間で有意な違いがなかった(ハザード比1.21、p=0.59)。5年PFS率が、CAPOX群60.9%、CAPOX-C群52.3%だった。一方、TP53野生型患者では、セツキシマブ追加によりPFSは有意に改善し(ハザード比0.23、p=0.02)、5年PFS率はそれぞれ65%、89.3%だった。

 OSに関しても、TP53変異型患者では有意差がなく(ハザード比0.97、p=0.94)、5年生存率がCAPOX群67.1%、CAPOX-C群67.3%であった。しかしTP53野生型患者では、有意差が認められ(ハザード比0.16、p=0.02)、5年生存率がそれぞれ67.5%、92.7%であった。

 またTP53野生型患者では、KRAS、NRAS、BRAF、PIK3CAのステータスに関わらず、セツキシマブ併用群でOSが優れていた。

 抗腫瘍効果を比較すると、TP53野生型患者において、術前補助療法に対する効果は、CAPOX群47.5%、CAPOX-C群62.1%(p=0.23)。化学放射線療法後の抗腫瘍効果は、それぞれ72.5%、75.9%(p=0.75)であり、「TP53野生型患者でのセツキシマブによる有用性は、セツキシマブの放射線増感作用とは関連性が見られない」とした。