転移を有するKRAS野生型の進行大腸癌のファーストラインとして、FOLFIRIとセツキシマブの併用治療とFOLFIRIとベバシズマブの併用治療を比較する第III相試験KRK-0306(FIRE-3)の結果がASCO2013において報告され、主要評価項目の奏効率(ORR)や副次的評価項目である無増悪生存期間(PFS)では有意差を示すことができなかったが、セツキシマブ群で有意に生存期間(OS)の延長が認められた。今回のECCにおいて、KRAS/NRAS遺伝子変異のサブグループ解析の結果が報告されたが、OSに差が認められたものの、ORR、PFSでは有意差がないという、ASCOでのITT解析と同様の結果だった。

 結果は9月27日から10月1日までオランダアムステルダムで開催されているEuropean Cancer Congress 2013(ECC2013)で、ドイツUniversity of Munichの V. Heinemann氏によって発表された。

 FIRE-3試験は、患者を2週間ごとのFOLFIRI(Tournigand regimen)に加えて、セツキシマブを投与する群(セツキシマブ群、1日目に400mg/m2を投与しその後は毎週250mg/m2を投与)と、ベバシズマブを投与する群(ベバシズマブ群、2週間おきに5mg/kgを投与)に割り付けた。ITT解析の対象は少なくとも1回の治療を完了した患者とした。主要評価項目は奏効率(ORR)だった。

 ITT解析の対象だった752人のうち、KRAS野生型患者が592人だった。この患者をセツキシマブ群297人、ベバシズマブ群295人に割り付けた。すでにKRASエクソン2野生型患者全体ではPFS、ORRについて両群に差がなく、OSでセツキシマブ群が延長することが報告されていた。今回はKRASエクソン3、4、NRASエクソン2、3、4、BRAF V600E変異の有無と効果の関係が調べられた。腫瘍組織が入手できた637人のうち全RASの状態について407人(69%)が解析できた。

 ITT解析の結果、ORRは、KRASエクソン2野生型全体(592人)ではセツキシマブ群が62.0%、ベバシズマブ群58.0%、p=0.183で差はなく、RAS野生型(342人)でもセツキシマブ群(171人)が65.5%(95%信頼区間:57.9-72.6)、ベバシズマブ群(171人)が59.6%(同:51.9-67.1)、オッズ比1.28(95%信頼区間:0.83-1.99)、p=0.32で差がなかった。RAS変異型(65人)はセツキシマブ群(34人)が38.2%(95%信頼区間:22.2-56.4)、ベバシズマブ群(31人)が58.1%(同:39.1-75.5)、オッズ比0.45(95%信頼区間:0.17-1.21)、p=0.14で差がなかった。

 PFS中央値は、KRASエクソン2野生型全体ではセツキシマブ群が10.0カ月(95%信頼区間:8.8-10.8)、ベバシズマブ群が10.3カ月(同:9.8−11.3)、ハザード比1.06(95%信頼区間:0.88-1.26)、p=0.547で差がなく、RAS野生型でもセツキシマブ群が10.4カ月(95%信頼区間:9.5-12.2)、ベバシズマブ群が10.2カ月(同:9.3−11.5)、ハザード比0.93(95%信頼区間:0.74-1.17)、p=0.54で有意差な差はなかった。RAS変異型ではセツキシマブ群が6.1カ月(95%信頼区間:5.3-8.5)、ベバシズマブ群が12.2カ月(同:9.7−13.9)、ハザード比2.22(95%信頼区間:1.28-3.66)、p=0.004で有意にベバシズマブ群が良かった。
 
 OS中央値は、KRASエクソン2野生型全体ではセツキシマブ群が28.7カ月(95%信頼区間:24.0-36.6)、ベバシズマブ群が25.0カ月(同:22.7-27.6)、ハザード比0.77(95%信頼区間:0.62-0.96)、p=0.017で有意にセツキシマブ群が良く、RAS野生型でもセツキシマブ群が33.1カ月(95%信頼区間:24.5-39.4)、ベバシズマブ群が25.6カ月(同:22.7−28.6)、ハザード比0.70(95%信頼区間:0.53-0.92)、p=0.011で有意にセツキシマブ群が良かった。RAS変異型ではセツキシマブ群が16.4カ月(95%信頼区間:15.9-27.6)、ベバシズマブ群が20.6カ月(同:17.0−28.4)、ハザード比1.20(95%信頼区間:0.64-2.28)、p=0.57で有意な差はなかった