転移性腎細胞癌(mRCC)で、標準的な第1選択薬である血管内皮増殖因子(VEGF)経路を標的とする治療と第2選択薬のmTOR阻害薬を用いた治療を受け、進行を見た患者にはどの治療薬を選択すればよいのか。第3選択としてdovitinib(Dov)またはソラフェニブ(Sor)を投与し無増悪生存期間(PFS)を比較したフェーズ3試験は、Dovの優越性を示せなかった。米Memorial Sloan Kettering癌センターのRobert Motzer氏が、ECC2013で9月29日に報告した。

 VEGF経路を標的とする治療に反応しない腫瘍には、線維芽細胞増殖因子(FGF)経路の活性化が起きているとの報告がある。Dov(開発名TKI258)は経口型チロシンキナーゼ阻害薬で、線維芽細胞増殖因子(FGF)受容体、VEGF受容体、血小板由来増殖因子(PDGF)受容体、その他のキナーゼを阻害する。mRCC患者に投与したフェーズ1で抗腫瘍活性が示されており、抗VEGFR薬とmTOR阻害薬の使用歴を持つmRCC患者に適用したフェーズ2の予備的な結果は、PFSの中央値は5.5カ月、OSの中央値は11.8カ月になることを示した。すでに報告されていた、ソラフェニブを用いた場合のPFSの中央値が約3カ月であったこと、ソラフェニブはMAPキナーゼとVEGF受容体、PDGF受容体を阻害するため、標的の一部はDovと重複することから、これら2剤の第3選択薬としての有効性と安全性を比較するフェーズ3試験GOLD RCCを行った。

 オープンラベルの多施設無作為化フェーズ3は、日本、アジア太平洋地域、欧州、中東、北米、南米で行われた。淡明細胞癌領域を含むmRCCで、抗VEGF薬とmTOR阻害薬を用いた治療をそれぞれ1回ずつ受けており、直近の治療から6カ月以内に進行した患者を登録した。これら以外に、サイトカイン療法その他のがん治療の経験を持っていても登録可能とした。

 MSKCC(Memorial Sloan Kettering Cancer Center)リスク分類を用いて予測された予後(不良、中間、良好)と腫瘍の位置で層別化し、無作為に1対1でDov(500mgを5日間投与し2日休薬する)またはSor(400mgを1日2回経口投与)に割り付けた。治療は、進行、不忍容、死亡、同意撤回、主治医が中止を決定、といったイベントが起こるまで継続した。

 主要転帰評価指標は、中央判定によるPFSに設定、2次評価指標は全生存期間(OS)、客観的奏効率、安全性とした。

 570人の患者を登録。92%が抗VEGF治療を受けた後にmTOR阻害薬を用いた治療を受けていた。それらの患者にとって今回の割り付け薬が第3選択となった。MSKCCリスク群類で良好は21%、中等度が57%、不良が22%だった。

 284人をDovに、286人をSorに割り付けた。年齢の中央値はそれぞれ61歳と62歳で、65歳以上の患者の割合は34%と42%、男性は75%と77%だった。

 割り付け薬の使用期間の中央値はどちらも16週だった。治療中止の理由が、進行を見たためだった患者が半数を超えた。

 中央判定でのPFSの中央値は、Dov群が3.7カ月(95%信頼区間:3.5-3.9)、Sor群が3.6カ月(同:3.5-3.7)だった。ハザード比は0.86(95%信頼区間:0.72-1.04、p=0.063)。研究者たちの手による分析でも両群のPFSに有意差は見られなかった。

 サブグループ解析を行ったところ、全身状態が正常に近い(Karnofsky PSスケールが90%以上)の患者ではDovの利益がSorより高い傾向が見られた。

 PFSの最終分析の時点で行われたOSに関する中間解析では、OSの中央値は11.1カ月(95%信頼区間:9.5-13.4)と11.0カ月(同:8.6-13.5)で、ハザード比は0.96(95%信頼区間:0.75-1.22、p=0.357)だった。

 最良総合効果(試験治療開始から治療終了までの間に記録された最良の客観的腫瘍縮小効果)はどちらのグループも、部分奏効が4%、病勢安定が52%だった。

 Sor群よりDov群に多く発生した有害事象は下痢(38%と64%)、悪心(19%と45%)、嘔吐(11%と35%)など。逆にSor群に多く見られたのは手掌足底感覚異常症(40%と11%)、高血圧(22%と14%)、脱毛(20%と1%)だった。リンパ球減少症、血小板減少症、好中球減少症や肝酵素値の上昇といった臨床検査所見の異常はDov群に多く見られたが、多くがグレード1-2だった。

 対象となった患者集団に対する適用では、DovはSorに対する優越性を示せなかった。今後もより有効なmRCC治療薬の探索が続くが、この試験で見られたPFSとOSが今後の第3選択薬探しにおける基準値になるだろう。