前立腺癌に対するLH-RHアンタゴニストであるデガレリクスの投与は、LH-RHアゴニスト投与に比べてPSA進行率が低く、心血管イベント発生率や全死亡率を低下させることが、デガレリクスを用いた6つのフェーズ3試験の統合解析の結果から示された。9月27日からアムステルダムで開催されているEuropean Cancer Congress2013(ECC2013)で、ベルギーCliniques universitaires SaintのBertrand Tombal氏が発表した。

 デガレリクスはLH-RHアンタゴニストで、投与開始直後のテストステロンの一過的上昇を起こさず、卵胞刺激ホルモン(FHS)を恒常的に抑制することが示されている。

 そこでTombal氏らは、リュープロレリンやゴセレリンとデガレリクスの効果をさまざまな条件で比較検討した6つのフェーズ3試験(CS21、CS35、CS37、CS28、CS30、CS31)を統合し、PSA変動や尿路異常、心血管疾患発症率や全生存率の検討を行った。

 解析対象は2328例で、うち1491例がデガレリクス投与群で、837例がLH-RHアゴニスト投与群だった。837例のうち458例がゴセレリン投与、379例がリュープロレリン投与を受けた。

 患者背景は2群間でバランスがとれており、年齢中央値は72歳、テストステロン中央値は4.1ng/mL、PSA中央値はデガレリクス群14.6ng/mL(LH-RHアゴニスト群12.7ng/mL)。局所例が35%、局所進行例が25%程度、有転移例が20%弱だった。Gleasonスコア7〜10だったのが6割強だった。

 PSA最低値からの連続した50%以上の上昇で定義したPSA無進行生存率を検討した結果、LH-RHアゴニスト群に対するデガレリクス群のハザード比は0.71(95%信頼区間:0.54-0.94、p=0.017)と有意にデガレリクス群で良好だった。

 登録時のPSA値が高いほどPSA進行発生率は高まっていたが、デガレリクス群の方がLH-RHアゴニスト群に比べてPSA進行発生率は低い傾向にあった。登録時PSA値が20ng/mL超のグループだけを対象としてPSA無進行生存率を比較した結果、ハザード比0.74(95%信頼区間:0.55-1.00、p=0.051)でデガレリクス群で良好な傾向だった。

 治療関連有害事象は、注射部位反応がデガレリクス群で有意に多く、痛みが33%(LH-RHアゴニスト群4%)、紅斑21%(LH-RHアゴニスト群<1%)、腫脹7%(LH-RHアゴニスト群<1%)、結節5%(LH-RHアゴニスト群<1%)だった。一方、LH-RHアゴニスト群で関節痛が6%(デガレリクス群4%)、背部痛6%(デガレリクス群4%)、尿路感染症6%(デガレリクス群4%)と有意に多かった。

 尿路障害については、LH-RHアゴニスト群に対するデガレリクス群のハザード比は0.61(95%信頼区間:0.48-0.78、p<0.001)とデガレリクス群で有意に発生率が低かった。筋骨格系障害についてもデガレリクス群で有意に低かった。

 心血管系イベントの発生率は、いずれかの心血管イベントの発生率はデガレリクス群2.7%、LH-RHアゴニスト群4.4%、重篤な心血管系イベントの発生率はデガレリクス群1.7%、LH-RHアゴニスト群2.9%で、デガレリクス群で心血管イベントもしくは死亡の発生リスクが低かった。さらに、登録時に心血管疾患を保有していた患者を対象とした場合、LH-RHアゴニスト群に対するデガレリクス群の心血管イベント発生のハザード比は0.44(95%信頼区間:0.26-0.75、p=0.002)だった。

 OSについても、LH-RHアゴニスト群に対するデガレリクス群のハザード比は0.47(95%信頼区間:0.25-0.90、p=0.022)とデガレリクス群で有意に良好だった。