BRCA変異陽性の卵巣癌または乳癌患者へのPARP阻害薬BMN673投与は有望である可能性が報告された。フェーズ1のPRP-001試験結果によるもので、9月27日からオランダアムステルダムで開催されているEuropean Cancer Congress 2013(ECC2013)で、米国Virginia G Piper Cancer CenterのRemesh K. Ramanathan氏が発表した。

 BMN673はポリADP-リボシル化(PARP)を阻害する薬剤。相同組み換え能が欠損しているBRCA変異腫瘍にPARP阻害薬を投与するとDNA修復が行われないため、細胞死を導くことができると期待されている。

 これまでのフェーズ1試験から、BMN673は十分な忍容性が示されており、患者の25〜30%で疲労感、悪心、脱毛症などが発現することが報告されているが、軽度から中等度にとどまる。1日の最大耐容量(MTD)は1mgで、1日1回の経口投与の際の半減時間はおよそ40時間。グレード3の主な有害事象は、血小板減少症(17.5%)、貧血(15.0%)、疲労感(2.5%)で、グレード4の血小板減少症は1例で確認された。

 今回報告したのはフェーズ1拡大用量漸増試験。対象にしたのは、BRCA変異陽性乳癌患者、BRCA変異陽性卵巣癌患者、小細胞肺癌患者、ユーイング肉腫で、今回はこのうちBRCA陽性乳癌(18人)、BRCA陽性卵巣癌(28人)の結果を示した。
 
 年齢中央値は、BRCA陽性乳癌が42歳(範囲:29-77歳)、BRCA陽性卵巣癌が58歳(範囲:33-80歳)、前治療レジメン数中央値はそれぞれ3(0-6)、3(1-8)、プラチナ製剤による前治療を受けた患者は6人、28人。BRCA1変異陽性患者数は乳癌が7人、卵巣癌が20人、BRCA2変異陽性患者数はそれぞれ11人、8人。プラチナ製剤による治療を受けた卵巣癌患者28人中22人がプラチナ感受性だった。

 BRCA変異陽性卵巣癌患者の解析では、RECISTを用いた評価で完全奏効(CR)または部分奏効(PR)だった患者は44%(11人)、CA-125値によるCRまたはPRは70%(19人)だった。

 奏効期間中央値は26.9週間、無増悪生存期間(PFS)中央値は32.3週間。CA-125値が評価可能だった27例中9例でCA-125値が正常範囲まで減少した。

 BRCA変異陽性乳癌患者の解析では、RECIST評価による奏効率が44%、CRが1例、PRが7例、24週間以上の病勢安定(SD)が5例、24週間未満のSDまたは病勢進行(PD)が5例。奏効期間中央値は27.9週間、PFS中央値は33.1週間だった。

 これらの結果からRamanathan氏は、「奏効期間中央値、PFS中央値の結果から、BRCA変異陽性の卵巣癌または乳癌患者へのBMN673投与は有用であることが期待された。プラチナ感受性はBMN673の感受性を検討する際に重要な因子の可能性がある」と語った。また、転移性乳癌患者を対象に、カペシタビン、エリブリン、ゲムシタビン、ビノレルビンから医師が選択した薬剤を投与する群とBMN673投与群とを比較するフェーズ3試験が進行中であることも紹介した。