術前放射線治療または化学放射線治療施行後に直腸間膜全切除(TME)術を施行した直腸癌患者への、術後補助化学療法の有用性は示されなかった。術後補助化学療法を施行した10年生存(OS)率、無病生存(DFS)率は、術後補助化学療法を施行しなかった群と比べて有意差は確認されなかった。PROCTOR/SCRIPT試験によるもので、9月27日からアムステルダムで開催されているEuropean Cancer Congress 2013(ECC2013)で、オランダLeiden University Medical CenterのA.J.Breugom氏が発表した。

 術前放射線治療または化学放射線治療に関する研究では、術後補助化学療法の治療効果は示されておらず、いまだ議論されている。

 そこでBreugom氏らは、PROCTOR試験とSCRIPT試験のデータを用い、術前放射線治療もしくは化学放射線治療後にTME術を施行したステージII、IIIの直腸癌患者へ術後補助療法を追加した際の治療効果について検討した。

 対象は、遠隔転移のないテージII、IIIの直腸癌患者。術前放射線治療を施行した群、術前化学放射線治療を施行した群、いずれも施行しなかった群の3群に分けた。さらにTME術を行った後の、観察群と術後補助化学療法群の2群に無作為に割り付けた。術後補助化学療法群は5-FU/ロイコボリン(LV)もしくはカペシタビンを投与した。

 2000年3月1日〜2013年1月1日までに470人が解析対象となった。観察群は232人、術後補助化学療法群が238人(5-FU/LV群87人、カペシタビン群151人)。主要評価項目は5年生存(OS)率、副次評価項目は局所・遠隔腫瘍制御。

 患者背景を見ると、65歳以上が約3割、腫瘍サイズが10cm以上が約4割、低位前方切除術施行者が約6割。術後放射線治療を実施した患者は観察群が84.9%、術後補助化学療法群が82.4%、化学放射線治療は12.5%、14.7%だった。追跡期間中央値は4.08年。

 解析の結果、5年OS率は観察群が75.9%、術後補助化学療法群が74.4%、10年OS率はそれぞれ55.8%、65.1%だった。術後補助化学療法群におけるOSハザード比は0.878で、有意差は見られなかった(95%信頼区間:0.587-1.313、p=0.527)。

 5年DFS率は観察群が58.4%、術後補助化学療法群が62.0%、10年DFS率は43.5%、55.6%だった。術後補助化学療法群におけるDFSのハザード比は0.835で有意差は見られなかった(95%信頼区間:0.616-1.133、p=0.247)。なお、腫瘍サイズが10cm以上のグループにおいては術後補助化学療法群のDFSハザード比が0.552と有意差が確認された(95%信頼区間:0.325ー0.938、p=0.028)。

 また再発のハザード比は全体では有意差がなかったが(ハザード比0.915、95%信頼区間:0.660-1.269)、腫瘍サイズが10cm以上のグループにおいては有意に再発リスクが減少した(ハザード比0.568、95%信頼区間:0.326-0.989、p=0.045)。

 術後補助化学療法群のコンプライアンスを見ると、試験を開始した患者割合は89.9%。このうち治療完遂できた患者は77.1%だった。

 これらの結果からBreugom氏は、「今回の結果からは、標準治療に術後補助化学療法を追加することの有用性を示せなかった。この研究では検出力が不足していたほか、長期間追跡する効果は大きくはないと考えられる」とまとめた。現在、イタリアの研究であるCHRONICLE試験とのメタ解析を行っていることにも触れ、同解析によって何らかの有用な言及ができると語った。