BRAF V600変異陽性で放射線ヨード抵抗性転移・切除不能の甲状腺乳頭癌に対するBRAF阻害薬vemurafenibの投与は、有効である可能性が示された。特に、血管内皮増殖因子受容体2(VEGFR2)阻害薬未治療のグループでは、より効果が高かった。多施設共同フェーズ2試験によるもので、9月27日から10月1日までオランダアムステルダムで開催されているEuropean Cancer Congress 2013(ECC2013)で、米国Abramson Cancer Center of the University of PennsylvaniaのMarcia S. Brose氏が発表した。

 甲状腺乳頭癌患者の4〜5割はBRAF V600E変異陽性で、予後不良因子として知られており、BRAFを阻害することで臨床的効果が得られることが期待されている。

 今回、BRAF V600E変異陽性の甲状腺乳頭癌に対しvemurafenibを投与した際の、安全性、有効性について検討したフェーズ2試験を実施した。

 対象は、BRAF V600E変異陽性、放射線ヨード抵抗性の切除不能、再発または転移の甲状腺乳頭癌患者。病勢進行から14カ月以内で、化学療法による前治療を認めた患者は、VEGFR2阻害薬未治療群(26人)、VEGFR2阻害薬既治療群(25人)の2つのコホートに分け、vemurafenib(960mgを1日2回経口投与)を病勢進行もしくは許容できない毒性が発現するまで投与した。

 主要評価項目は、VEGFR2阻害薬未治療患者における奏効率。副次評価項目は、安全性、奏効期間、PFSと全生存期間(OS)、薬物動態、VEGFR2阻害薬既治療群における奏効率。

 男性の割合はVEGFR2阻害薬未治療群が58%、VEGFR2阻害薬既治療群が52%、PS 0は58%、52%、65歳以上は54%、52%、局所再発・切除不能は12%、8%、転移患者の割合は89%、92%。前治療レジメン数は1個がそれぞれ12%、28%、2個が0%、36%、3個以上が0%、36%だった。全例で手術を実施しており、コホート2のVEGFR2阻害薬既治療群の84%がソラフェニブを投与されていた。

 まずVEGFR2阻害薬未治療群の解析では、部分奏効(PR)が35%、6カ月以上の病勢安定(SD)が23%で、奏効率(CR+PR+6カ月以上のSD)は58%。PFS中央値は15.6カ月(95%信頼区間:11.2カ月〜未達)、OS中央値は未達だった。

 次にVEGFR2阻害薬既治療群の解析では、PRが29%、SDが10%で、奏効率は38%だった。PFS中央値は6.3カ月(同5.39〜未達)、OS中央値は9.8カ月(同7.39〜未達)だった。

 治療期間中央値は、VEGFR2阻害薬未治療群が30.36週、VEGFR2阻害薬既治療群が26.14週、治療中止に至ったのはVEGFR2阻害薬未治療群の50%、VEGFR2阻害薬既治療群の68%で、最も多かった理由は病勢進行だった(VEGFR2阻害薬未治療群の27%、VEGFR2阻害薬既治療群の52%)。

 グレード3または4の発現率はVEGFR2阻害薬未治療群が65%、VEGFR2阻害薬既治療群が64%、投与中止が必要となった薬剤関連有害事象は19%、8%だった。主な有害事象は、発疹、疲労感、体重減少、味覚異常、脱毛症で、メラノーマへの投与時に見られた同剤の安全性プロファイルに類似していた。

 これらの結果からBrose氏は、「VEGFR2阻害薬未治療のBRAF V600E変異陽性、放射線ヨード抵抗性の進行甲状腺乳頭癌患者に対するvemurafenib投与は有効で、VEGFR2阻害薬未治療患者のみならず既治療患者に対しても治療効果が期待される」とし、さらなる検討が必要であると語った。