I期で完全切除が行われた非小細胞肺癌(NSCLC)の術後補助療法として、フルドーズのパゾパニブの投与は安全であるが、実現可能性はないと考えられることが、多施設共同、フェーズ2のランダム化試験(IFCT-0703)から示された。ただし、減量した場合、コンプライアンスと忍容性は受容可能となった。9月27日から10月1日までアムステルダムで開催されているEuropean Cancer Congress 2013(ECC2013)で、フランスGustave RoussyのB. Besse氏が発表した。

 現在、I期のNSCLCに対する標準的な術後補助療法はない。シスプラチンを含むレジメンは腫瘍径が4cm以上の場合の選択肢であり、UFTが術後補助療法で承認されているのはアジアのみである。パゾパニブは術前補助化学療法として、I-II期のNSCLCに対する腫瘍縮小効果が報告されている。

 IFCT-0703試験は、術後補助療法としてVEGFR-TKIの実現可能性を初めて検討した臨床試験。対象は、I期のNSCLCで完全切除が行われた、PS1以下の患者だった。術後4-8週目から、プラセボまたはパゾパニブ800mg/日を6カ月間投与する群に、患者をランダムに割り付けた。

 実現可能性は、パゾパニブを3カ月以上投与できた患者の割合が80%を超える場合、およびグレード4の毒性の発現が20%未満の場合とし、これらを満たす場合はフェーズ3試験に進むこととした。主要評価項目は、パゾパニブまたはプラセボを12週以上24週以内投与した患者の割合だった。

 2009年3月から2012年8月までに、フランスの29施設から142人がランダム化された。64人(コホート1)が登録された時点で中間解析を行い、データモニタリング委員会(IDMC)から、初期のコンプライアンスが不十分なため、パゾパニブを400mg/日とするよう推奨を受けた。さらに16人(コホート2)が登録されていたが、プロトコールを改訂し、パゾパニブの用量を400mg/日として、さらに62人(コホート3)を登録した。

 解析の対象は、パゾパニブの用量を800mg/日としたコホート1の64人と、400mg/日としたコホート3の62人となった。追跡期間中央値はそれぞれ3年と1.3年だった。

 コホート1、コホート3の年齢中央値はいずれも59.5歳、男性はそれぞれ75%と48%、白人がいずれも97%、PS 0の患者が75%を占めた。喫煙者/前喫煙者はコホート1では98.5%、コホート3では87%だった。IA期はそれぞれ78.1%と77%、腺癌は73.4%と75.8%だった。

 コンプライアンスをみると、12週以上の投与が可能だった患者は、コホート1ではパゾパニブ群(32人)で38%(95%信頼区間:21-56)、プラセボ群(32人)で87%(同:71-96)だった。コホート3では、パゾパニブ群(32人)で69%(同:50-84)、プラセボ群(30人)で93%(同:77-99)となり、パゾパニブの用量を400mg/日としたことでコンプライアンスは有意に改善した(p=0.012)。

 治療の中止理由では、パゾパニブ800mg/日ではプロトコールの規定(55%)、毒性(22%)、患者の選択(11%)が多く、400mg/日ではそれぞれ73%、11%。8%だった。

 グレード3/4の毒性が1つ以上発現した患者の割合は、パゾパニブ800mg/日を投与した群では53%(95%信頼区間:35-71)、400mg/日を投与した群では38%(同:21-56)だった。プラセボ群ではそれぞれ13%と27%だった。毒性による死亡は認めなかった。

 パゾパニブを800mg/日投与した患者では1人にグレード4の疲労感が発現した。800mg/日を投与した患者で多く観察されたグレード3/4の毒性は、下痢(9%)、高血圧(9%)、トランスアミナーゼの上昇(25%)などだった。一方、400mg/日を投与した患者で多く観察されたのは、食欲不振(6%)、下痢(6%)、嘔吐(6%)、高血圧(6%)で、トランスアミナーゼの上昇は認めなかった。

 Besse氏は「パゾパニブは800mg/日では実現可能性がないことが示され、フェーズ3試験の構成要素が取り消されたことになる。全生存期間(OS)と無再発生存期間(DFS)のイベント発生数はまだ少なく、治療の有用性を結論するには長期の追跡が必要」と結んだ。