ステージI〜IIIの乳癌患者に対する内胸と内側鎖骨上(IM-MS)リンパ節鎖への放射線照射追加は、乳房/胸壁のみへの照射に比べ、10年時点の全生存(OS)率、無病生存(DFS)率、無転移生存(MFS)率を改善したことが報告された。EORTC Radiation Oncology and Breast Cancer Groupsが実施したフェーズ3試験22922/10925の結果によるもので、9月27日からオランダアムステルダムで開催されているEuropean Cancer Congress 2013(ECC2013)で、オランダInstitute VerbeetenのPhilip Poortmans氏が発表した。

 内胸のリンパ節転移郭清はOSを改善しないことが示されたことから、1970年代以降は内胸のリンパ節郭清は実施されなくなった。一方、IM-MSリンパ節鎖への放射線照射の治療効果については、晩期の心毒性が増加とのバランスによりいまだ議論されている。

 そこでPoortmans氏らは、IM-MSリンパ節鎖への放射線照射の治療効果を検討する無作為化試験、22922/10925を実施した。

 対象は、ステージI〜III、腋窩リンパ節転移陽性または陰性、中心または内側領域腫瘍を持つ乳癌患者。1996年7月〜2004年1月までに13カ国46施設から4004人が登録され、乳房/胸壁のほかにIMーMSリンパ節鎖へ50Gyを照射する群(IM-MS照射あり群、2002人)と乳房/胸壁のみ照射する群(IM-MS照射なし群、2002人)に無作為に割り付けた。

 主要評価項目は10年OS率、副次評価項目はDFS、MFS、死亡理由。追跡期間中央値は10.9年間。

 年齢中央値は両群ともに54歳、PS 0の割合はおよそ9割、閉経前患者はおよそ4割、乳房温存術の患者割合は76%、腋窩リンパ節郭清患者は54%。ステージIはIM-MS照射なし群が33.2%、IM-MS照射あり群が34.0%、ステージIIIが13.9%、14.2%、術後補助化学療法実施患者は25.0%、24.7%、術後ホルモン療法は29.9%、29.3%。プロトコルどおりに治療が実施できたのはそれぞれ97.1%、96.6%だった。

 主要評価項目の10年OS率はIM-MS照射なし群が80.7%、IM-MS照射あり群が82.3%で、IM-MS照射あり群で改善傾向を示した(ハザード比0.87、95%信頼区間:0.76-1.00、p=0.056、層別化因子補正後はp=0.0496)。また、リンパ節個数は影響を与えなかった(p<0.1)。

 10年DFS率はIM-MS照射なし群が69.1%、IM-MS照射群が72.1%(ハザード比0.89、95%信頼区間:0.80-1.00)、10年MFS率はそれぞれ75.0%、78.0%(ハザード比0.86、95%信頼区間:0.76-0.98)で、どちらもIM-MS照射群で有意に改善した(p=0.044、p=0.02)。

 追跡期間中に死亡したのはIM-MS照射なし群が429人(21.4%)、IM-MS照射あり群が382人(19.1%)で、うち乳癌死はそれぞれ310人、259人。心血管疾患による死亡はIM-MS照射あり群で22人、IM-MS照射なし群で20例と差はなかった。致死的な毒性は見られなかった。また、リンパ節転移再発はIM-MS照射なし群が4.2%だったのに対し、IM-MS照射あり群が2.7%、遠隔転移はそれぞれ19.6%、15.9%だった。

 これらの結果からPoortmans氏は、「ステージI〜IIIの乳癌患者において内胸と内側鎖骨上(IM-MS)リンパ節鎖への放射線照射は、毒性に差がないにも関わらず、10年OS率、DFS率、MFS率を改善することが示された」と語った。