化学療法を受けて進行が認められない非小細胞肺癌(NSCLC)に対するアンチセンス癌ワクチンBelagenpumatucel-Lの投与は、プラセボに対して全生存期間(OS)の改善効果を認めないことが、フェーズ3試験の結果から示された。9月27日からアムステルダムで開催されているEuropean Cancer Conference2013(ECC2013)で、米国National Cancer InstituteのG Giaccone氏が発表した。

 肺癌を対象に開発が進められているBelagenpumatucel-Lは、遺伝子組み換えによりTGF-βの産生を抑制した4つのNSCLC細胞株(H460/HBA2大細胞癌株、SK/LU-1/HBA2腺癌株、H520/HBA2扁平上皮癌株、RH2/HBA2扁平上皮癌株)を混合したワクチンで、放射線照射後凍結保存して作成する。TGF-βはT細胞、B細胞、樹状細胞の活性化を阻害し、腫瘍が宿主免疫系から逃れるために利用していると考えられており、Belagenpumatucel-LはTGF-βを産生しないよう改変した肺癌細胞をワクチンとして利用するコンセプトだ。

 これまでフェーズ2A試験で61例を対象に検討し、OS中央値14.4カ月、1年生存率56%、5年生存率20%、フェーズ2B試験では21例を対象に検討し、OS中央値18.5カ月、1年生存率58%、5年生存率10%という成績が得られている。

 今回、最大6サイクルのファーストラインでの化学療法を受けて病勢進行が認められない、ステージIIIA、IIIB、IVの非小細胞肺癌患者を対象に、Belagenpumatucel-L(2.5×107個の細胞)を月1回18カ月投与し、その後4カ月に1回を2回投与した群(Belagenpumatucel-L群)とBest Supportive Care+プラセボ群(プラセボ群)にランダムに割り付けたフェーズ3試験を行った。

 ファーストライン治療後4〜17週以内にランダム化し、ECOG PSは2以下で、病勢が安定している脳転移例、症状のない骨転移症例は適格基準内とした。緩和的照射の受療例も許可した。

 プラセボ群のOSは10.5カ月、belagenpumatucel-L群のOSは14.0カ月と見込み、506例が必要と計算された。

 患者登録期間は46カ月で、6カ月間のフォローアップを行った。米国、カナダ、イギリス、オランダ、ポーランド、ハンガリー、セルビア、インドの8カ国73施設から登録し、Belagenpumatucel-L群270例、プラセボ群262例が登録された。

 2群間で患者背景はバランスがとれていた。平均年齢は約61歳で、ステージIIIB/IVがほとんどを占め、ECOG PSは0と1が半数ずつだった。腺癌が約6割を占め、約3割が扁平上皮癌だった。脳転移例は20例弱だった。

 重篤な有害事象として、軟膜癌腫症がBelagenputatucel-L群に2例、プラセボ群に1例、免疫反応がBelagenpumatucel-L群に1例、蜂巣炎がプラセボ群に1例認められた。Investigatorによる評価ではいずれも因果関係があるとされたが、開発を進めているNovaRx社の評価では免疫反応のみが因果関係があると考えている。

 有害事象は、Belagenpumatucel-L群で注射部位反応が260例(プラセボ群62例)と高頻度に認められ、紅斑が35例(プラセボ群7例)、硬結が22例(プラセボ群4例)、アレルギー性皮疹は23例(プラセボ群10例)だった。

 OSは、Belagenpumatucel-L群が20.3カ月、プラセボ群17.8カ月、ハザード比0.94(p=0.594)で、約2.5カ月差があったが、有意な差ではなかった。

 化学療法後から12週以内に治療を開始したサブグループ、化学療法後から12週以内に治療を開始したステージIIIB/IVのサブグループで解析したが、いずれも2群間で有意な差は認められなかった。ただし、Cox回帰分析を行うと、化学療法後から試験治療開始までの期間については有意な因子であることが示された。なお、放射線療法を受け、12週以内に治療を開始したサブグループでは、Belagenpumatucel-L群のOS中央値が40.1カ月だったのに対し、プラセボ群10.3カ月で、ハザード比0.45(p=0.014)と統計学的に差が認められた。

 Belagenpumatucel-L群では部分奏効が6例(2.2%)、完全奏効が1例(0.4%)に認められた。無増悪生存期間中央値は、ステージIIIAでBelagenpumatucel-L群5.8カ月、プラセボ群3.1カ月、ステージIIIBではそれぞれ4.8カ月、3.7カ月、ステージIVではそれぞれ3.2カ月、3.5カ月だった。

 これらの結果から、同グループは、プラセボ群の生存期間が試験設計の際に想定した期間よりも長かったことから統計学的パワーが不足したとした上で、OSの改善効果は認められなかったが、化学療法後からの期間や放射線治療歴があるグループなどで効果が期待できる可能性があり、今後の開発に応用していくと締めくくった。