ドセタキセル治療歴がある去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)に対する抗CTLA-4抗体ipilimumabの投与は、プラセボに比べて全生存期間(OS)を改善する効果は認められないことが、フェーズ3試験の結果から示された。ただし、副次評価項目の無増悪生存期間(PFS)やPSA奏効率を改善し、また病勢が比較的軽度な患者ではOSを改善していた。9月27日からアムステルダムで開催されているEuropean Cancer Congress2013(ECC2013)で、オランダRadboud UniversityのW.R.Gerristen氏が発表した。

 ipilimumabは完全ヒト抗CTLA-4抗体製剤で、T細胞の活性化を抑制するCTLA-4に結合し、CTLA-4とリガンドのCD80やCD86の相互作用を遮断する。CTLA-4を遮断することにより、T細胞の活性化と増殖が促進されることが明らかになっている。

 これまでipilimumabは、基礎的な検討で前立腺癌に対して抗腫瘍効果が認められ、放射線照射との併用によるフェーズ1/2試験の結果から効果が得られる可能性が示唆されていた。なお、基礎的な検討において、放射線照射は免疫反応による抗腫瘍効果発現の引き金になると考えられている。

 今回発表されたフェーズ3試験は、ドセタキセル治療歴があるCRPCで骨転移に対する外照射(8Gy)を受けた患者を、ipilimumab群(399例)とプラセボ群(400例)に割り付けてOSを評価した。ipilimumabは10mg/kgを3週毎4回投与した後に12週毎、病勢進行もしくは許容できない毒性の発現まで投与するものとした。主要評価項目はOS、副次評価項目はPFS、安全性で、探索的検討としてPSAの変動(PSA奏効率)を設定した。

 適格基準は症候性骨転移が1カ所以上あり、テストステロン値50ng/dL未満、ECOG PSは0または1とした。2つ以上の化学療法を受けた患者、脳転移例は除外した。

 患者背景は、年齢中央値がipilimumab群67.5歳(プラセボ群)69歳、70歳以上が41.5〜46.1%。アルカリホスファターゼ正常値1.5倍以上だった患者の割合は約4割、Gleasonスコア7以上だったのが5割弱、Hb値11超だったのが3割弱、PSが1だったのは5割強、他臓器転移があったのは3割弱、LDHが正常値2倍以上だったのが14%程度、PSA中央値は138.5ng/mL(ipilimumab群)、176.5ng/mL(プラセボ群)だった。

 追跡の結果、ipilimumab群のOS中央値は11.2カ月(95%信頼区間:9.5-12.7)、プラセボ群10.0カ月(同:8.3-11.0)、ハザード比は0.85(同:0.72-1.00、p=0.053)で、統計学的に有意な差ではなかった。

 1年生存率はipilimumab群47%、プラセボ群40%、2年生存率はipilimumab群26%、プラセボ群15%だった。

 事前に設定したサブグループ解析では、PSが0、アルカリホスファターゼ正常値1.5倍未満、Gleasonスコア7超、LDH値正常、他臓器転移がない場合、Hb値が11g/dL以上のグループでipilimumab群が良好だった。

 PFS中央値は、ipilimumab群4.0カ月、プラセボ群3.1カ月で、ハザード比は0.70(95%信頼区間:0.61-0.82)と、ipilimumab群で有意に良好だった。登録時からの50%以上のPSA値減少が得られた患者の割合はipilimumab群13.1%、プラセボ群5.3%だった。

 投与サイクル数中央値は両群とも4、4サイクル以上投与できた患者の割合はipilimumab群51.2%、プラセボ群66.8%、維持療法へ進んだ患者の割合はipilimumab群24.2%、プラセボ群15.7%だった。

 治療中止理由は、病勢進行(PD)だったのがipilimumab群45.0%、プラセボ群65.9%、試験薬による毒性がipilimumab群19.8%、プラセボ群1.5%、死亡がipilimumab群8.1%、プラセボ群4.8%だった。

 有害事象は、グレード3/4の薬剤関連有害事象がipilimumab群36.1%、プラセボ群10.1%。グレード3/4の免疫関連有害事象はipilimumab群25.7%、プラセボ群2.8%だった。

 治療期間中の死亡数はipilimumab群266例、プラセボ群304例で、うち病勢進行によるものが多くを占めた。投与開始から5カ月以内に死亡(もしくはセンサー例)した患者のうち、グレード5の有害事象が認められたのがipilimumab群56例、プラセボ群39例だったが、ほとんどは試験薬とは関係がないもので、薬剤関連の致死的な有害事象はipilimumab群3例、プラセボ群1例だった。

 探索的解析として、アルカリホスファターゼ正常値1.5倍未満、Hb値11g/dL超、他臓器転移なしという予後良好因子を持つ患者のみを対象としたサブグループ解析では、OS中央値は、ipilimumab群22.7カ月、プラセボ群15.8カ月だった。

 これらの結果から、病勢が比較的軽度なCRPC患者にはipilimumabが有効である可能性が示唆され、最後にGerristen氏は、現在、化学療法未治療の進行性CRPCを対象としたフェーズ3試験が進行中であることを紹介した。